マツダ「ロータリーエンジン」復活、なぜ今? 規制や経営合理化に翻弄 マツダが守ったロータリーの火
公開 : 2023.01.11 20:30
水素とガソリンの二刀流に
「RX-8」では水素燃料を使ったリース車両も実現している。
2003年の東京モーターショーに登場した「RX-8ハイドロジェンRE」である。
当時、マツダの他にBMWなどが、水素を内燃機関で使う次世代車開発を進めていた。
ちょうど燃料電池車のプロトタイプが登場し始めた時期で、自動車向けの水素供給がグローバルで活発に議論された時期だった。
コストの高い燃料電池車に比べて、水素燃料車に対するメリットがあると考えられていた。
マツダ本社が技術詳細を公開する定期刊行物のマツダ技報の記載内容を要約すると、「レシプロエンジンは点火プラグや排気バルブが高温になりやすく、吸気行程中にバックファイアが起こりやすい。一方で、ロータリーエンジンは構造上、比較的低温の吸気室に水素を吸収することができるのでバックファイアを回避しやすい」と説明している。
実際、筆者は「RX-8ハイドロジェンRE」を公道で試乗している。
特長は、ガソリンと水素をレバー1つで走行中でも切り換えることができる点だった。
水素燃料になると一気にパワーが落ちる感じだったが、普通の運転ならばまったく問題ないと感じた。
当初計画では、北欧から大量受注があるはずだったが、先方の施策が変更となり輸出数は限定的となった。
ロータリーエンジンの活路
2013年には「デミオEV」レンジエクステンダーとした試作車にも試乗した。
ロータリーエンジンは車体後部の下側に搭載され、走行中の音はとても静かだった。
当時、マツダはすでに「CX-5」から第六世代となり、スカイアクティブが登場しマツダのブランドイメージは刷新された。
ロータリーであるスカイアクティブRについて、レンジエクステンダーのみならず、2015年の東京モーターショーで出展した「RX-VISION」に注目が集まった。このモデルは次期「RX-9」ともいわれた。
さらに時代は進み、2019年に発表された中期経営計画の中で、ついに「マルチ×EV化」という表現でレンジエクステンダーとしてロータリーエンジンの復活が明言された。
直近では、2022年11月に中期経営のアップデートが発表されている。
その中では時代が大きく電動化にシフトする中、2030年までの3つのフェイズに分け、2030年時点での電気自動車の想定比率をマツダとして25-40%と幅を持たせた目標を掲げた。
これは、ウクライナ情勢やコロナ禍に見られるように、世の中は先読みができない時代であり、電動化についてはマツダとして持てる技術を総動員してフレキシブルな対応をする必要があるという判断からである。
そうした多様なパワートレイン戦略の中で、マツダのブランドイメージを担うロータリー復活のタイミングとなったといえるだろう。