ハタチぶんの進化 フォルクスワーゲン・ゴルフ R ゴルフ R32 Mk8とMk4を比較試乗 前編

公開 : 2023.01.21 09:45

ドライバーズカーとしての本性が現れる

エンジンオイルの温度が上昇し、積極的なドライブモードに切り替える。入念に手が加えられた、ドライバーズカーとしての本性が現れる。

ステアリングホイールのロックトゥロックは2回転以下。胸がすくようなクイックさだが、反応は落ち着いていて予想しやすい。

ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)
ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフ R 20イヤーズと、ブルーのフォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4)

筆者は、ステアリングの設定はコンフォート・モードが好ましいと感じた。人工的な重み付けが加算されず、グリップ力を判断する感触が薄れることがないためだ。

試乗車のR 20イヤーズには、オプションのアダプティブダンパーが組まれていた。15段階に減衰力を調整できるが、平滑とはいいにくい英国の一般道では、最も柔らかい設定がベターだろう。

このダンパーの特性は、MQBプラットフォームを採用した他のモデルが備える弱点も共有している。鋭い隆起部分や窪みを通過すると、若干落ち着きを失ってしまう。シリアスに仕立てられたゴルフだが、快適寄りの状態でも姿勢制御は充分タイトだ。

トランスミッションやデフは、レース・モードが1番。ふんだんなパワーをリアタイヤへ割り振り、高速コーナーを俊敏に処理できる。きついヘアピンの出口でアクセルペダルを蹴飛ばすと、後輪駆動のようにテールが流れる。

走りの主役は、2.0L 4気筒ターボエンジン。12ps増強され鋭いレスポンスを叶えたR 20イヤーズ用ユニットでなくても、そもそもMk8のゴルフ Rは望外に速い。エグゾーストノートが記憶に残るほどの快音なら、一層素晴らしい体験になるだろう。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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