240mm伸ばしたファストバック シトロエンe-C4 Xに試乗 優しく穏やかな走り

公開 : 2023.01.23 08:25

シトロエンの新型クロスオーバー、C4 XにEV版が登場。質感の良い内装や快適性重視の走りを、英国編集部は評価します。

C4より全長が240mm長いファストバック

シトロエンから新たにe-C4 Xが発売された。eを冠する通りバッテリーEV(EV)版のC4で、フォルムが異なりXが追加されている。ファストバック風のルーフラインを備えたデザインが特徴だろう。

通常のe-C4の全長は4360mmだが、e-C4 Xでは240mmも伸ばされ4600mmある。だが、ホイールベースは2670mmで同値。伸びた長さは、リアのオーバーハング側へ充てがわれている。

シトロエンe-C4 X シャイン(欧州仕様)
シトロエンe-C4 X シャイン(欧州仕様)

ステランティス・グループのCMPプラットフォームを土台にしたモデルとしては最も長く、ハッチバックのC4から実用性を高めた内容といえる。リアシート側のリクライニング角度が増やされ、荷室容量は130L増しの510Lを得ている。

ただし、ルーフラインのおかげで高さ方向には余裕がない。リアシートの背もたれは前方へ倒れるが。

欧州市場に投入されるパワートレインは、136psの駆動用モーターがフロントに載り、駆動用バッテリーの容量が50kWhという1択。前輪駆動となり、航続距離はカタログ値で357kmがうたわれる。急速充電能力は、最大100kWまで対応するという。

ご存知かもしれないが、C4 Xにはガソリンエンジン版とディーゼルエンジン版も用意されている。だが、英国へ導入されるのはBEVのみ。恐らくCO2の排出量規制が厳しく、ニッチなクルマの売れ行きが伸びにくい市場だからだろう。

座り心地の良いシート 質感の良いインテリア

今回試乗したのは、C4 Xの製造工場があるスペインのマドリード近郊。左ハンドル車だった。

第一印象は、e-C4のそれに近い。個性的なデザインのインテリアだが、フロントシート側は2年前に発売されたe-C4と基本的に同一。シートは大柄で座り心地が良く、内装の製造品質や素材の質感も良好。ステアリングホイールの位置は調整域が大きい。

シトロエンe-C4 X シャイン(欧州仕様)
シトロエンe-C4 X シャイン(欧州仕様)

ダッシュボードの中央には10.0インチのタッチモニターが据えられ、多くの車載機能のインターフェイスを担う。ボリューム用のロータリー・コントローラーはなく、実際に押せるハードボタンの数も少ない。

エアコンの操作パネルが、独立して設けられている点は評価したい。ハードボタンが並び扱いやすい。

リアシート側の広さも、基本的にはハッチバックのe-C4と同等。背もたれにゆったりとした角度が付いているから、フロントシートとの距離は遠く感じる。ファストバック・スタイルということで、頭上空間の余裕はそれほどでもない。

ボディが伸ばされたe-C4 Xだが、空力特性に影響を与える前面投影面積は変わらず。空気抵抗を示すCd値は0.29と良好で、むしろ通常のハッチバック・ボディのe-C4より航続距離は8kmほど長い。

車重は約60kg多い1621kgあるが、BEVの場合は回生ブレーキが備わることもあり、この程度の差なら余り影響を与えないようだ。興味深い事実ではある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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