大胆な見た目だけじゃない DSオートモービルズ DS3 Eテンスへ試乗 156psへ小改良

公開 : 2023.01.22 08:25

ステランティス・グループの上級ブランド、DSのBEVクロスオーバーが新モーターとバッテリーを獲得。英国編集部が評価しました。

BEVの改良で新たな顧客の獲得を目指す

フランスのDSオートモービルズは内燃エンジンから完全に手を引き、バッテリーEV(BEV)のみを提供する自動車メーカーへ進路をとる。フランスだけでなく、自動車業界へ与える影響は小さくないだろう。

一方で、ステランティス・グループのこのブランドは8年前の2014年にスタートしているが、認知度は余り高くない。英国では多くの国民にとって馴染みが薄く、まだシトロエンの上級ブランドだと受け止めている人も少なくないようだ。

DSオートモービルズ DS3 Eテンス・オペラ(欧州仕様)
DSオートモービルズ DS3 Eテンス・オペラ(欧州仕様)

確かに、当初はその特別仕様という設定ではあった。DSオートモービルズとしてはこの状況を受け入れがたく、意欲的なモデルで変えたいと考えている。

その一歩となるのが、コンパクト・クロスオーバーのDS3に与えたリフレッシュ。従来までは内燃エンジンが主力の設定だったが、バッテリーEV版のEテンスの能力を改善させ、新たな顧客層の獲得を目指している。

このクラスでのライバルとなるのは、キアe-ソウルやヒョンデコナ・エレクトリック、プジョーe-2008など。競争は徐々に激しさを増しているが、プレミアムなポジショニングや快適な乗り心地、豪華な内装などでリードしたい構えだ。価格も張るが。

お気づきかもしれないが、このモデルは従来までDS3クロスバックを名乗っていた。だが2023年から英国ではDS3へ改名されている。あえてクロスオーバーだと触れる必要がなくなったのだろう。

156psの新モーターと51kWhの新バッテリー

改良で得た駆動用モーターは、ステランティス・グループの各ブランドが採用する新しい156psのユニット。従来から20psほどパワーアップし、低回転域での静寂性を高めたという。最大トルクは27.1kg-mある。

駆動用バッテリーは、オペルモッカ・エレクトリックと同じ51kWhのもの。4kWh容量が増え、航続距離は77kmも長い402kmが主張されている。急速充電能力は最高100kWに対応。10%から80%までの充電は最短30分でこなせる。

DSオートモービルズ DS3 Eテンス・オペラ(欧州仕様)
DSオートモービルズ DS3 Eテンス・オペラ(欧州仕様)

通常のAC充電器の場合は11kWまで。5時間半でまかなわれる。

このサイズのモデルとしてはトルクが太めなこともあり、DS3の発進加速は勢いがいい。だが、高速道路で追い越しをかけるような場合では、もう少し力が欲しいと感じるかもしれない。

そんな時は、ノーマルとエコに並んで設定された、スポーツ・モードを選ぶのがベター。デフォルトで設定したいと思える、低速域でのトルク感が得られる。80km/hから120km/hへの中間加速は、5秒ほどでこなせるという。

全体的なドライビング体験は落ち着いたもので、ドライバーへの訴求力が高いというわけではない。それでも、全体的な印象には優れる。

DS3の特徴といえるのが、フォーミュラEチームが開発に関わったという、回生ブレーキシステム。アクセルペダルだけで加減速をまかなえる、ワンペダル・ドライブも可能なほどの制動力を違和感なく生んでくれる。ペダル操作に対するバランスは優秀だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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