発表迫るマイチェン版 ポルシェ・カイエン S 試作車へ試乗 4.0L V8ツインターボ獲得 前編

公開 : 2023.01.20 08:25

各グレードで増強 ターボGTが非導入の地域も 

ガソリンエンジンでは、エントリーユニットの3.0L V6ターボエンジンが14psと5.1kg-m増強され、最高出力354ps、最大トルク50.9kg-mを獲得。カイエン Sに載っていた、アウディ由来となる2.9L V6ツインターボはラインナップから落ちる。

そのかわりカイエン Sは、ポルシェ自身の4.0L V8ツインターボを獲得。従来から35psと5.1kg-m増え、475psと61.1kg-mが与えられる。

ポルシェ・カイエン S プロトタイプ
ポルシェ・カイエン S プロトタイプ

カイエンのトップグレードを担うターボGTには、さらにハイチューンの4.0L V8ツインターボが搭載され、従来から20ps増しの最高出力660psを達成するそうだ。最大トルクは変わらないというが、86.5kg-mもあるから不足はないはず。

欧州市場のドライバーにとって残念なお知らせといえるのが、排出ガス規制の強化に伴い、今後はターボGTが選べないという事実。それ以外でも、ユーロ6AP基準が適用される地域では導入が見送られる。

プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のEハイブリッドももちろん存在する。トランスミッションに内蔵される駆動用モーターが改良を受け、従来より40ps増強され176psを得ている。

3.0L V6ガソリンターボエンジンは若干パワーが絞られ、339psから304psへ落ちるが、システム総合としてはパワーアップ。システム総合では8ps増しの470psを発揮するとのこと。最大トルクは総合でも5.1kg-mダウンし、66.1kg-mになる。

エアサスはツインチャンバーへ変更

PHEVでは駆動用バッテリーも11.8kWh増量され、25.9kWhの容量が与えられる。ACの充電能力も、最大7.2kWだったものが11kWまで対応するようになる。ソフトウエアもバージョンアップし、より短時間での充電を叶えたという。

新しい駆動用バッテリーとソフトウエアの導入により、電気だけで走行可能な距離が80%伸び、約80kmになるとのこと。ポルシェによると、EハイブリッドとS Eハイブリッドとは別のPHEV版も登場するようだが、この詳細は後日となる。

ポルシェ・カイエン・プロトタイプ
ポルシェ・カイエン・プロトタイプ

サスペンションにも抜かりはない。従来のものを抜本的に見直し、改良とチューニングを施したと主張している。

スチールコイルにツインチューブの可変ダンパーが組み合わされた、ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM)システムを獲得。オプションでエアサスペンションも選べるが、トリプルチャンバーからツインチャンバーへ変更される。

トップグレードのカイエンに搭載できる、後輪操舵システムにも手が加えられている。市街地での取り回しを向上させるため、低速域でのリアタイヤの操舵角が増やされる。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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