子象の人気は止められない ランチア・デルタ HFインテグラーレ 英国版中古車ガイド 国を超えた売買も
公開 : 2023.01.27 08:25 更新 : 2023.01.27 11:40
世界的な人気で価格上昇 国を超えた取り引き
生産終了から30年近くが経過したデルタだが、後期型になるほど人気も高い。最高のエボルツィオーネIIへ10万ポンド(約1600万円)を費やすことも可能だが、ラリー・レジェンドのベースモデルの入り口は、2万5000ポンド(約400万円)程にある。
すっかりコレクターズアイテム化しており、賢明な金額といえるのはHFインテグラーレ 8vや16Vといってもいい。徐々に価格は上昇傾向にあるが、われわれに届かないレベルとまではいえない。
世界的な人気は衰えを見せず、国を超えた取り引きが行われている。興味をお持ちなら、早いうちに入手されることをオススメしたい。
新車時代のAUTOCARの評価は
高精度なステアリングで卓越した操縦性を実現している。コーナリングは驚くほどにシャープだ。コーナーの頂点でアクセルペダルを蹴飛ばし、ターボブーストを高めても、トラクションが失われることはまったくなかった。(1988年2月18日)
オーナーの意見を聞いてみる
マイク・ジョイス氏
「わたしは2004年にエボルツィオーネIIを2万5000ポンドで購入しました。近年の価格は高騰しており、先を見越した投資といえましたね。もちろんガレージへ仕舞わずに運転を楽しんでいます。年間6000kmくらいは走っています」
「予算の限りで最高の1台を選ぶのが良いでしょう。右ハンドル車へコンバージョンされた例はオススメしません。ステアリングラックが異なり、操縦性が悪化しているんです。近年は補修部品の価格も上昇しています。慎重に選びたいところですね」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
アッパーサンプ・ガスケットからのオイル漏れがないか確かめる。カムシャフトは、特にエグゾースト側で摩耗しやすい。エンジンオイルに含まれる金属粉の影響だという。タイミングベルトとウオーターポンプは、3年毎の交換がベスト。
排気ガスに含まれる白煙は、ターボかバルブガイドの摩耗が原因。ゴム製の燃料ポンプマウントは、経年劣化で駄目になりガソリンが送られなくなる。
トランスミッション
リアデフからのフルード漏れや、フロントデフからのギアノイズがないか試乗で確かめたい。ビスカス・カップリングのフルードが古くなると、四輪駆動の能力へ影響を及ぼす。5速MTのシンクロコーンは真鍮製で、摩耗しがち。
サスペンションとステアリング
フロント側のウイッシュボーン・ブッシュがヘタると、フロントタイヤの偏摩耗を引き起こす。アフターマーケット製のサスペンションで車高が落とされた例もあるが、スプリングレートが高すぎるとボディシェルへ負担が掛かり、ヒビが入ることもある。
エボルツィオーネのブレーキは鳴きやすい。
ボディ
デルタのボディは錆びる。前後のガラス付近、ストラットマウント周辺、フロントフェンダーとクロスメンバー、ルーフ後端などが錆びやすいポイント。
Aピラーの付け根、フロントガラスを固定するラバーシールの裏側や、サイドシル付近に亀裂がないか確かめる。サイドスカートを外さないと、サイドシル全体の状態は確かめられない。
インテリア
ラジオや時計周辺のダッシュボードは、ネジの閉めすぎでひび割れる。荷室を隠すパーセルシェルフは、まだ新品が入手できる。内装パネルなどは、新車時から走行中にきしむことが報告されていた。