M60とxドライブ50の違いを確認 BMW iX(5) 長期テスト アラームのエラー
公開 : 2023.01.22 09:45
エンジンを売りにする上級ブランドが発売した、フラッグシップBEVのiX。英国編集部が長期テストで実力を検証します。
積算9314km 車載アラームの異常鳴動
普段より遅くまで起きていたある晩、ベッドへ身体を沈めた直後にけたたましいアラームが鳴って飛び起きた。時刻は午前1時。自宅の駐車場に停めていた、長期テストのBMW iXだった。
窓から見る限り、敷地内には誰もいない様子。クルマもちゃんと停まっている。BMWのスマートフォン・アプリを介して、アラームの前後に車載カメラで撮影された映像を確認できるのだが、目立った異変もない様子。賢い機能を備えたアプリだ。
念のためiXを確認して、すぐに眠りへ落ちた筆者だったが、数日後に再び鳴った。海辺でのんびり過ごしていた週末の午前6時半と、その直後の2回。さらに午後にもう1度。
何かのエラーに違いないということで、iX xドライブ50 Mスポーツは英国BMWの本部へ一旦お戻しすることにした。このようなトラブルは、長期テストでは珍しいことではない。代わりにカギを預けられたのが、これまでより高性能なiX M60だった。
このiX M60は、本気のMモデルではない、Mパフォーマンスと呼ばれるモデル。それでも、リアの駆動用モーターがアップグレードされており、最高出力はiX xドライブ50の523psから619psへ2割弱引き上げられている。
若干鋭い加速力 郊外の道を自然に飛ばせる
シャシーにも手が加えられており、サスペンション・ダンパーのレートが引き締められ、リアには硬いアンチロールバーが与えられている。エアサスペンションとステアリングの特性も、より正確な操縦性を求めたチューニングが施されている。
控えめだが、ボディは専用のスタイリングキットで飾られる。ボディカラーは、ブルーリッジ・マウンテンという青みがかかったグリーン。メタリック塗装で、筆者が目にしたiXでは最もデザインに似合った色味だと思う。インテリアもアップグレードされている。
実際に運転してみた印象には、そこまで明確な違いはない。比較すると、iX M60の方が発進加速で若干鋭く、中間加速も一層速い。相当にエネルギッシュなバッテリーEV(BEV)といえるが、iX xドライブ50が遅く感じていたわけではない。
乗り心地は、サスペンションへ与えられたチューニング通り、iX M60の方が若干硬い。ステアリングの反応はシャープで、英国郊外の流れの速い区間との愛称は優れる。より自然に飛ばせる。
ハイパワーなぶん、電費効率は劣る。現実的な環境で4.1km/kWh前後となり、航続距離は480kmに届かないようだ。これまでのiX xドライブ50では、普段使いで560km以上走れることを確かめていたから、小さくない差といえる。