シトロエン・アミ 詳細データテスト 思ったより楽しいハンドリング 想定より短い航続距離 うるさい

公開 : 2023.01.21 20:25  更新 : 2023.02.13 07:12

快適性/静粛性 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

少なくとも、アイドリング時でヒーターやファンを使っていなければ、アミの車内にいても暗騒音以上の音は聞こえてこない。ただ、それも走り出すまでの話だ。スピードが出ないクルマでありながら、ビックリするほどノイジーなのだから。

その騒音のある程度は、車外から聞こえてくる。試乗中のメモがわりに使ったボイスレコーダーには、追い越していくクルマの音が、ほかのクルマではありえないくらい録音されていた。

ほとんどの走行環境で、乗り心地は衝撃が強く、ノイズも大きく、力強さもない。ハンドリングより、そちらのほうが印象に残るだろう。
ほとんどの走行環境で、乗り心地は衝撃が強く、ノイズも大きく、力強さもない。ハンドリングより、そちらのほうが印象に残るだろう。    MAX EDLESTON

しかし、大半はアミ自体から発している。ファンをオンにすると、効き具合は公衆トイレのハンドドライヤーと似たようなものだが、さらにうるさいくらいで、暗騒音が37dBAだったのが、67dBAまで跳ね上がる。これはルノーメガーヌで113km/h出したときより騒がしい。

最高速に達すると、騒音系は71dBAを指す。モーターは唸りをあげ、乗り心地も騒々しいものになる。壊滅的なほど不快だ、と言い換えてもいい。スピードが出ているのであれば、まずまず悪くないと思えるのかもしれないが、48km/h制限道路で、せっかちなドライバーに追い抜かれるような速度域でこれでは、そう言わざるを得ない。

それでもファンは、フロントウインドウの曇りを比較的早く取ってくれる。拭いたほうが早いかもしれないが、シートからの距離は遠くて手が届きにくい。また、窓の外側に水滴や汚れがついてくると、前方の4分の3くらいの視認性は驚くほど落ちる。太いBピラーと小さなミラーも、視界を妨げる原因だ。無防備なクルマにとっては、けっこう厄介だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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