GTスポーツサスで敏捷に トヨタ・ヤリス GRスポーツへ英国試乗 惜しいパワートレイン
公開 : 2023.01.29 08:25
ヤリス・ハイブリッドのスポーティ版が英国へ上陸。意気込みに対し、エンジンが物足りないと英国編集部は評価します。
見た目ほど速くはないヤリス GRスポーツ
予め触れておこう。このハッチバックは多くのクルマ好きが愛する、GRヤリスの廉価版ではない。単語の順番が違っている。
今回試乗したのは、ヤリス GRスポーツ。基本的にはトヨタが主力とするコンパクトカーの通常モデルで、GRヤリスを越えない範囲でスポーティに仕立ててある。
エンジンは1.5Lの自然吸気3気筒ガソリン。ハイブリッド・システムが搭載され、システム総合で115psと12.1kg-mを発揮する。四輪駆動ではなく前輪駆動で、トルセン式ディファレンシャルも装備されない。
スタイリングは、少々ホットに仕立てられている。メッシュ状のフロントグリルや、ブラック・アウトされたボディトリムにドアミラーカバーなどで、通常のヤリスとの違いを主張する。
そんな見た目と裏腹に、ヤリス GRスポーツはさほど速くない。0-100km/h加速に要する時間は9.7秒。最高速度は175km/hだ。
装備は充実している。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応したインフォテインメント・システム、スポーツシート、LEDヘッドライト、バックカメラが標準で付いてくる。
トヨタがセーフティセンスと呼ぶ、運転支援システムも実装されている。衝突被害軽減ブレーキに車線維持支援、アダプティブ・クルーズコントロール、オートハイビームなどが、ドライバーをバックアップしてくれる。
少々硬いGTスポーツ・サスペンション
GRの2文字を冠するだけあって、スポーツフレーバーを効かせるべく、シャシーには改良が施されている。精悍な18インチのアルミホイールを履くほか、専用チューニングのダンパーが組まれる、GTスポーツ・サスペンションがその目玉だろう。
リアのコイルスプリングはレートが見直され、ボディロールを制限している。トヨタによれば、乗り心地とステアリング・レスポンスが向上したという。操縦性を高めるため、フロア部分には剛性を増すサイド・ブレースも追加される。
トヨタは、GRヤリスより以前の2018年に、先代のヤリス GRスポーツをリリースしていた。しかしサスペンションが硬すぎ、滑らかな路面でも乗り心地は振るわず、優れた安定性も得られていなかった。
新しいヤリスへモデルチェンジし、TNGA-Bプラットフォームを獲得したことで、特性が変わるのではないかと試乗前は期待していた。だが、硬い乗り心地は受け継いでしまったようだ。
路面を問わず、小さな凹凸の存在を車内へ伝えてしまう。ボディサイズの割には大きいホイールと肉薄なタイヤも、プラスには働いていない。
もっとも、ホットハッチとしては妥当な引き締まり具合ではある。インテリアには、ふんだんにGRのロゴが展開され、ドライバーの気持ちをソソってくれる。パワートレインの活発さが伴わないのが、なんとも惜しい。