一晩で12台がパンク 英国で深刻化する「ポットホール問題」とは 直したくても直せないワケ
公開 : 2023.01.23 19:45
通報は1日225件! 冬の気候でエスカレート
RACのニコラス・ライズ氏は、政府の短期的な補修政策を批判した。
「修理は往々にして “応急処置” であり、その質は各自治体が必要と考え、負担できる資金の額によって決定されるものです。幸いなことに、比較的暖かい冬が2年続きましたが、道路は崩れつつあります。氷と雪がないために、道路が崩壊せずに済んだだけなのです」
しかし、この冬はすでに氷と雪に覆われており、さらに予算が圧迫されているため、多くのポットホールが見つかっている。RACがとったアンケートでは、回答者の86%がポットホールを避けるためにハンドルを切ったことが複数回あると答えたという。
AA(英国自動車協会)によると、11月上旬の2週間で、ポットホールによるパンクやホイールの損傷に関する通報が1日あたり225件もあったという。
AAのエドモンド・キング会長は、「これは衝撃的なことで、寒くなるにつれて悪化していくでしょう」と語っている。
政府は何も対策を施していないわけではない。7月に発表された公約では、道路脇での工事完了後に路面を悪い状態のまま放置した公共事業者や建設会社に罰則を科す措置の導入が掲げられている。少しでも状況の改善につながることを、英国のドライバーは望んでいるだろう。
余談だが、ポットホール(Pothole)はアスファルトが普及する以前から道路上に存在していた。15~16世紀の英国では、陶器職人が植木鉢などを作るために近所の道路に穴を開けて、粘土を掘り出していた。このことから、「鉢・鍋(Pot)」を作るためにできた「穴(Hole)」としてポットホールと呼ばれるようになったという。