Jr.スーパーカーの煌き フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 3台を比較 中編

公開 : 2023.02.05 07:06

強みの洗練性が足りない前期型

ロータス・エスプリ・ターボは、出色のフェラーリ328 GTSをスペックの幾つかの数字で凌駕する。0-97km/h加速を5.4秒でこなし、0-400mや0-1000mダッシュは速い。

アクセルペダルを蹴飛ばすと、ターボチャージャーが過給し明らかにパワー感では勝る。エンジンが269psの3.2L V型8気筒に対し、218psの2.2L直列4気筒だとしても。

ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)
ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)

コーナーでは充足感が満ちる。前後の重量配分は328 GTSが46:54で、ランボルギーニ・ジャルパが43.2:56.8だが、エスプリ・ターボは49:51と最も理想値に近い。優れたサスペンションとともに、秀逸なバランスを生んでいる。

誇るべき英国の技術力の結果といえたが、初期型の場合はすべてがまとまりきれてはいなかった。今回ご登場願ったシルバーのエスプリは、1987年にロンドン・モーターショーで展示された車両そのもの。後期型ほど、能力は高くない。

ロータスは、X180型のエスプリへ毎年のように改良を施した。そのなかでのスイートスポットは、1989年のターボSEだろう。改良後のサスペンションとグッドイヤー・イーグルタイヤが組み合わされ、燃料インジェクションで267psを発揮している。

これなら、繊細で官能的なフェラーリ以上の操縦性を備えていたと思う。だが初期型には、ロータスならではのストロングポイントといえる、洗練性が足りていない。

ジェントルでエレガントな個性

とはいえ、容姿端麗で走りに意欲的な独特の魅力へ強く惹かれる。ターボチャージャーの悲鳴は、より新しい世代のスーパーカーを彷彿とさせる。ツイン・デロルト・キャブレターが刺激的な吸気音を重ねる。

軽量なボディでグリップ力には事欠かない。5速MTは滑らかに仕事をこなし、ブレーキも鋭く効く。積極的に操りたいと思わせる。328 GTSと比べて、限界領域付近での親しみやすさでは及ばないが、ロータスらしく個性はジェントルでエレガントだ。

ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)
ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)

オリジナルをもとにピーター・スティーブンス氏がリデザインしたボディは、モダンでシャープ。エンジンカバーの上を覆うトンネルバック・リアガラスなど、「ターボ」独自の特徴も備わる。

エンジンとブレーキの冷却性を向上させるため、ボディのアンダートレイにも丁寧な設計が施されている。上昇したスピードに応じた、空力特性が与えられている。

インテリアは、それ以前のエスプリと比べれば大幅に質を高めている。デザインのまとまりも良い。スモークの入った、チルト式サンルーフが雰囲気を引き立てている。

印象を悪くしないために、車内はじっくり観察しない方が良いだろう。各部のステッチは少々不揃いで、エアコンの送風口の位置も不自然だ。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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