トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか
公開 : 2023.01.28 20:25 更新 : 2023.02.13 08:26
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
厳密に言えば、bZ4Xはトヨタ初のEVではない。1997年に初代RAV4をEV化したことがあり、数年後には2代目が登場している。量産モデルとしても、すでにレクサスブランドでUX300eが販売中だ。とはいえ、本格的にEVの量販市場へ切り込むという点では、やはりbZ4Xがはじめてのことだと言っていいだろう。
トヨタの大規模なEV計画は、新開発のe−TNGAプラットフォームが基盤になっている。その名がほのめかすように、内燃エンジン用のTNGAと多少は関連性がある。しかし、それが設計面で妥協を強いるほどには近くない。
このe-TNGA、前後モーターの位置と、フロント寄りになる運転席の位置、そしてバッテリーの全幅は規定されているが、それ以外のほとんどの要素は変更できる。bZ4Xはスバルが開発に協力し、スバル版のソルテラともども得意の4WD関連技術が生かされている。
バッテリーは、長いホイールベース内のフロア構造部にうまく組み込まれ、容量は71.4kWh。競合の多くが70kWh台後半なのに比べると、やや小さい。今回はbZ4Xもソルテラもバッテリーは1種類のみの設定だが、将来的には容量の異なるものを積んだモデルも登場する見込みだ。
結果として、航続距離もやや物足りない。前輪駆動のエントリーグレードであるピュアは510kmを謳うが、20インチホイールや追加装備が加わるヴィジョンは446kmに落ち込む。テストした2モーターのヴィジョンは417kmで、競合するキアEV6のAWD GTラインSが480kmほどなのには及ばない。
トヨタが用いるバッテリー技術は革新的ではないかもしれないが、それとは別の領域でイノベーションが導入されている。今年後半には、レクサスRZとともに、ステア・バイ・ワイヤを全面導入する初の量産車になる予定だ。
インフィニティ、すなわち日産はこの技術を8年前に実用化しているが、バックアップとしてのステアリングコラムは残されている。トヨタのワンモーショングリップはそこもカバーして、機械的なリンクの必要がなくなっているようだ。
また、インフィニティは一般的な丸いステアリングホイールを使用するが、トヨタは操縦桿のような形状を採用。テスラも同様のデバイスを用いるが、トヨタのものはロックトウロックがたったの150°なので、取り回しの際に丸いリムがなくても切りにくい思いをしなくて済む。