トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

公開 : 2023.01.28 20:25  更新 : 2023.02.13 08:26

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

カローラにしろ、RAV4にしろ、C-HRにしろ、トヨタ車のインテリアには一貫した傾向がある。質感は申し分ないというわけではなく、ドイツ車に比べるとデザインの統一感がやや欠ける。しかし、機能性重視の形状がもたらすエルゴノミクスや、文句なしの製造クオリティには頼もしさを感じる。

驚いたのは、bZ4Xは多くの点で、そのトヨタらしさの逆を行っていたことだ。

質感は悪くないが、高いメーターパネルは、ステアリングコラムを低くしないとリムの上部で遮られる部分が出てしまうなど、エルゴノミクスには問題あり。荷室ももう少し広さがほしい。
質感は悪くないが、高いメーターパネルは、ステアリングコラムを低くしないとリムの上部で遮られる部分が出てしまうなど、エルゴノミクスには問題あり。荷室ももう少し広さがほしい。    MAX EDLESTON

トヨタのデザイナーは、比較的地味な形状ながらも個性的で、好ましい未来的なデザインに仕立てた。ダッシュボードのファブリックや質感の良い合成皮革のおかげで、第一印象は高級感を覚える。

しかし、しばらく時を過ごすと、マテリアルがまちまちであることが見えてくる。硬いプラスティックが多いことや、ほかとの統一感がないテクスチャーも見つけてしまう。それで不快になるようなものではないが、日産アリアスコダ・エンヤックiVと張り合えるようなものでもない。

また、トヨタ車といえば完璧な製造クオリティやエルゴノミクスが持ち味だが、それがbZ4Xには見られない。計器盤やドアハンドルなど一部のコンポーネンツは、露骨に薄っぺらい感じがするし、ボタン類のほとんどはグロスブラックのタッチパネルに置き換えられている。また、プジョー風の小径ステアリングホイールは問題を解決するより、むしろ増してしまっている。

ドライビングポジションは、明らかにドライブ・バイ・ワイヤのステアリングを前提としたセットアップだ。どんなに高く座っても、ステアリングホイールの頂点がメーターにかかることはないように、ステアリングコラムはかなり低くする必要があり、心地よく直観的に操作できるようにはできていない。

また計器盤の高い位置は、トヨタが劇的な効果を狙ったのだと思われるが、それ自体はきわめてベーシックなメーターで、カスタマイズの選択肢は少なく、グラフィックも最新とは言えない。鮮明さは十分だが、バッテリー残量のパーセンテージは表示されない。残りの走行距離が表示されるのみだ。

後席に移っても、状況はそれほど好転しない。スケートボードタイプのプラットフォームを用いるEVがえてしてそうであるように、大人でもニールームに不足はなく、ヘッドルームもそこそこある。

ただ、もしも前席がトヨタ水準以上の高級感を感じさせたとしても、後席は5万ポンド(約800万円)のクルマだとは感じられない。2口のUSB−Cポートや送風口はあるものの、すべてが暗くて味気なく、チープに見える。

後席スペースではほかに負けていないが、荷室に関しては残念なことになっている。使いやすいフックやスクエアなシェイプも、狭い総容量を補うことはできない。

452Lというのは、スコダ・エンヤックiVばかりかキアEV6にすら届かない。床下には実用的な収納スペースがあり、ケーブル置き場も用意されているが、ボンネットの下はメカが埋め尽くしていて、フロントトランクはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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