トヨタbZ4X 詳細データテスト 及第点だが花マルなポイントはなし 本命はステア・バイ・ワイヤか 

公開 : 2023.01.28 20:25  更新 : 2023.02.13 08:26

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

前輪駆動のエントリーグレードであるピュアの価格は4万5710ポンド(約731万円)で、装備が拡充された中間グレードのモーションは4万9510ポンド(約792万円)。これはそび内容の近いキアEV6と、オプションのヒートポンプを装備したスコダ・エンヤックiVとの中間に位置する。なお、トヨタはヒートポンプを標準装備している。

このヒートポンプ、抵抗式ヒーターよりも効率よく、冬の冷えたクルマを暖めてくれる。ところが、ヒーターをオンにすると予想される走行距離が平気で60km以上も落ち込むことがあるのには戸惑いを覚える。トヨタによれば、これは最悪のケースだとはいうのだが。

1年後の残価予想は、エンヤックが強さを見せる。しかし、それを過ぎると、トヨタがライバルたちを引き離す。
1年後の残価予想は、エンヤックが強さを見せる。しかし、それを過ぎると、トヨタがライバルたちを引き離す。

同時に、航続距離計は現状、充電量が8%残っていても、走行可能距離をゼロだと表示する。今後のアップデートで、距離の試算がより正確になり、バッテリー残量のパーセンテージ表示も加わるという。

バッテリー容量は公称71.4kWhだが、これがネットがグロスかは明言されていない。テスト中の平均電費は5.0km/kWhで、冬季の2モーターEVとしてはかなりいい数字だ。

航続距離は335kmで、そこから推測される実用容量は67kWh。比較的小さいキャパシティで走った距離としては悪くないが、競合車たちのほとんどはこれより遠くまで走れるのも事実だ。

歯がゆいところも見受けられるbZ4Xだが、トヨタ車といえば信頼性には定評があるところだ。昨年から盛んに宣伝されているのが、最高10年の16万km保証だ。しかし実際には、当初は3年/9.6万kmで、トヨタディーラーで点検を受けるごとに1年/1.6万kmずつ延長される形式だ。

バッテリーは、最低8年/16万km、最高10年/100万kmというとんでもない距離を走行した後でも70%の容量を確保できることが保証されている。たいしたものだが、正規ディーラーより個人店を使いたいユーザーにはうれしくない話だ。

点検は1年もしくは1.6万kmごとで、交換すべきエンジンオイルやフィルターのないEVとしては間隔が短い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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