真価は磨かれた操縦性 ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテへ試乗 666psのSUV

公開 : 2023.02.01 08:25

ペルフォマンテの真価は磨かれた操縦性

とはいえ、ペルフォマンテの真価は、引き上げられた操縦性にある。ステアリングラックのレシオはクイックになり、アクセルレスポンスはシャープになり、トルセン式センターデフにもチューニングが施された。見た目だけのアップグレードとは一線を画す。

アクティブ・アンチロールバーを装備し、緻密な姿勢制御も実現。感触豊かなアルカンターラ巻きのステアリングホイールを握り、カーブの連続する道を意欲的にこなせる。実際に運転してみると、良い意味で第一印象は裏切られる。

ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(英国仕様)
ランボルギーニウルス・ペルフォマンテ(英国仕様)

グリップが抜けやすい湿った路面では、トラクションを活かしマナー良く鋭く旋回することも、スライドさせながらワイルドに振る舞うことも可能。後者の方がより楽しいが、グリップとスリップへの推移を操りやすいシャシーを備え、懐も深い。

大柄なSUVではあるが、アクセルペダルの加減でフロントノーズの向きを変えていける。積極的に運転し始めると、ボディサイズは巧みに隠される。

シャシーとパワートレインのシリアスさが引き上げられつつ、存分に直感的に運転できる。もっとも、ドライビング体験での充足感を得るには、非日常的な速度域へ迫る必要があるのだけれど。他の高性能SUVと同様に。

落ち着かない心地 行き過ぎた成果か?

スチールコイルへ置換されたサスペンションは、いささか硬すぎる印象。常に路面の細かな凹凸を拾い、舗装したての区間を走るか、相応の負荷がかかった状態でない限り乗り心地は落ち着かない。恐らく、現実的には乗っている95%の時間で。

英国の道路環境には、ウルス・ペルフォマンテは向いていない。日常的に使うクルマとして選ぶのであれば、アストン マーティンDBX707の方がベターだろう。

ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(英国仕様)
ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(英国仕様)

ランボルギーニは、ペルフォマンテという称号を与える以上、ウラカン・ペルフォマンテに並ぶようなシリアスさが必要だと主張するはず。アスファルトを焦がす勢いを。

それは理解できるが、ペルフォマンテ化したウルスは、少々行き過ぎた成果といえるかもしれない。これが、特定のドライバーへの訴求力になるのだとは思うけれど。

ランボルギーニ・ウルス・ペルフォマンテ(英国仕様)のスペック

英国価格:20万4213ポンド(約3267万円)
全長:5137mm
全幅:2026mm
全高:1618mm
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:320g/km
車両重量:2150kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:666ps/6000rpm
最大トルク:86.5kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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