後輪駆動へ大胆チェンジ ポールスター2 改良新型、出力と航続距離アップ
公開 : 2023.01.26 06:05
ポールスターは、ブランド初のEVセダン「ポールスター2」の改良新型を発表しました。シングルモーター仕様は前輪駆動から後輪駆動へ変更し、効率化による航続距離の延長を図っています。
シングルモーター仕様は後輪駆動に
ボルボ・カーズ傘下のEVブランドであるポールスターは、パワーと航続距離を向上させ、駆動方式を変更したポールスター2の改良新型を欧州で発表した。
ブランド初のEVセダンとなるポールスター2は、今回の改良でこれまでの前輪駆動から後輪駆動に切り替え(シングルモーター仕様)、効率を高めて航続距離の向上を図っている。親会社のボルボも最近、XC40リチャージとC40リチャージで同じ改良を実施した。
シャシー開発責任者のヨアキム・ライドホルム氏はAUTOCARの取材に対し、後輪駆動への切り替えは「数年前から」検討していたことだと語っている。快適性とハンドリングも「少し改善」されるなど、効率以外でのメリットもあるという。
「ポールスター2は非常に良いプラットフォームからスタートし、(これまでのモデルには)非常に満足しています。しかし今、後輪駆動に変更したことで快適性が向上し、ダイナミクス、ステアリングポジション、フロントアクスルの応答速度も改善されました」
「クルマ全体が少し機敏になり、軽くなったようにさえ感じられます」
四輪駆動のデュアルモーター仕様も、リアバイアスのトルク配分で再チューニングされ、「ドライビング・プレジャーとパフォーマンスが向上」したという。
デュアルモーター仕様は、走行中にフロントモーターを切り離し、後輪のみを駆動して効率化を狙うこともできる。パワーを必要となった場合は、フロントモーターが再び作動する。
また、リアモーターを主役とし、フロントは新しい非同期モーターでサポートすることでパワーアップを実現。デュアルモーター仕様の出力は、14psアップの421ps、トルクは8kg-mアップの75.5kg-mとなった。これにより、0-100km/h加速は4.5秒となり、従来よりも0.2秒短縮された。
シングルモーター仕様には新しい永久磁石モーターが搭載され、出力は68psアップの299ps、トルクは16.3kg-mアップの49.9kg-mとなっている。0-100km/h加速は従来より1.2秒短い6.2秒となった。
航続距離も大幅に延長
バッテリーも新調され、ロングレンジモデルで容量を82kWhに拡大した。航続距離は四輪駆動モデルで105kmアップの592km、後輪駆動モデルで84kmアップの635kmとされている(欧州WLTP)。
ロングレンジモデルの充電出力は、55kW向上し、最大205kWとなった。
標準モデルのバッテリー容量は69kWhのままだが、効率性の向上により航続距離が518km(40kmアップ)に延長された。充電出力も20kW向上し、150kWとなった。
エクステリアはリフレッシュされ、特にフロントエンドではソリッドな印象を強めている。前方カメラや中距離レーダーなどのアクティブ・セーフティ機能「スマートゾーン」が追加された点も特徴の1つ。
ポールスターのトーマス・インゲンラートCEOは、次のように述べている。
「自動車業界では一般的に、フェイスリフトで表面的な視覚的変化を導入し、クルマのデザインテーマが持つ本来の意図を壊してしまうことが多い」
「改良新型のポールスター2では、むしろ水面下に注力し、電動ドライブトレインの実質的な技術や機械部品をアップグレードしました」
欧州では、改良新型ポールスター2の受注が始まっており、価格はシングルモーター仕様で4万4950ポンド(約720万円)から、デュアルモーター仕様のロングレンジモデルで5万2950ポンド(約850万円)からとなっている。