アウトドア派のための次世代SUV アウディ 悪路もイケる高性能EVコンセプト公開

公開 : 2023.01.27 18:25

自動運転の快適性とドライビングの楽しさ

また、他のスフィアシリーズと同様に、レベル4の自動運転機能(指定されたエリアでの自動運転が可能になる)を搭載。ペダル、ダッシュボード、ステアリングホイールは、使用しないときには自動的に折りたたまれて、広々としたラウンジ風の室内空間を演出する。

同時に、ダイナミクスにも注力しているという。UI/UXの責任者であるシド・オデドラ氏は、次のように語る。

自動運転の際には、ステアリングやペダルなどが格納される仕組み。
自動運転の際には、ステアリングやペダルなどが格納される仕組み。    アウディ

「ドライビングとクワトロはアウディのDNAですから、ドライビング・エクスペリエンスを高めることにも力を注いでいます。このラウンジキャビンでは、ただコンテンツを楽しむだけではありません。ステアリングホイールに手を置いた瞬間、このインターフェースは空間的なものからドライバーに焦点を当てたものになります。すべてがドライバー中心になるのです」

インテリアでは、従来の物理的な操作系だけでなくタッチスクリーンさえも廃止し、AR(拡張現実)を主役とする「アウディ・ディメンションズ」というシステムを採用した。主要なディスプレイと車載機能をこのARシステムでホストし、ジェスチャーで操作して、運転シナリオに応じて適応させることができるという。

オデドラ氏は、「人を中心とした無限の空間インターフェイスを創り出しました。情報を適切な場所に配信することができます。過度な負担はかけません」と述べている。

A7のパフォーマンスにSUVの能力を

AUTOCAR英国編集部は、アウディのデザイン責任者であるマーク・リヒテ氏にインタビューを行った。

――このスフィアコンセプトは、気に入っていますか?

「ええ。これまでの3台(スフィアシリーズ)は、すでに存在するボディスタイルでしたから。でも、アクティブスフィアはまったく新しいものです。……このスタイルはなんと呼べばいいのでしょう? 何でしょうか? それが問題ですね」

――パフォーマンスカーという表現も当てはまるのでしょうか?

アウディのデザイン責任者マーク・リヒテ氏(左)
アウディのデザイン責任者マーク・リヒテ氏(左)    AUTOCAR

「アウディといえば、常にパフォーマンスです。アウディA7を昇華させたようなものですが、それ以上にSUVの能力を持っています。オールロードにはもちろんオフロード性能がありますが、(ランドローバーディフェンダーのようなハードコアなものではありません。それがこのコンセプトの背景にある考え方です」

――ライバル企業には、EVラインナップにおいてマトリョーシカ的なアプローチを追求するところもあります。それもあって、アウディは大胆なアプローチを選んでいるのでしょうか?

「もちろんです。彼らは、EVであることを視覚化したいのです。『こんにちは、わたしはEVです、見た目が違いますよ』と。アウディのアプローチは、まったく違います。大径ホイール、ショートオーバーハングなど、EVプラットフォームのポテンシャルを活かして、これまででもっとも魅力的で格好いいアウディを作り出すのです」

「以前は、内燃機関があるから、ホイールが小さいから、もっと広いトレッドが欲しいからと、いつもプロポーションと戦っていました。大きなホイール、短いオーバーハング、フラットフロアのインテリア。デザイナーにとっては夢のような話です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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