クルマの素性浮彫り 氷上で試す日産車 光るアリアe-4ORCEのドライバビリティ フェアレディZでドリフトも

公開 : 2023.01.30 11:00

氷上に咲く個性 痛感するFR車の難しさ

車重が2t前後になるアリアエクストレイルに比べ、まるでライトウェイトスポーツカーのように積極的なドライブが楽しめたのは車重1.5tを切るノートとキックスのX FOUR(4WD)兄弟だった。

モーターの出力はフロント116ps(キックスは136ps)、リア68psといえばFF的な挙動を見せそうなもの。

新型日産フェアレディZも用意されていた。
新型日産フェアレディZも用意されていた。

ところがそこは前後の駆動力に機構的な関連がない電動駆動車の強みで、コーナーで前輪が限界となればリアモーターが存在感を増しハンドリングを助けてくれる。

車重も軽いのでスライドも比較的短い距離で収まり、自信をもってドライブできるという点も頼もしい。

サクラはBEVで駆動方式はFF。

ところが氷上で感じる質感は骨太な感じがして、普通車と同じタイミングで軽自動車を試乗した時に感じやすい薄っぺらさがない。

エンジンの振動や音がないのはもちろんだが、スロットルを踏んだ瞬間からリニアに溢れ出す64psとミューが低い路面の相性もいいのだと思う。

個人的に初めて触れるフェアレディZは写真で見るより鋭く、カッコ良かった。

氷上におけるドライバビリティは、FR車らしくまさに針の穴に糸を通すような難しさ。

とはいえ見方を変えれば、スポーツカーはドライバーの仕事が多くて当然、それを楽しむものという局面もある。

またZの6速MTを操っていると、電動のAWDがいかに滑らかで、滑りやすい路面の走りを助けてくれているかを思い知らされる結果になった。

年を追うごとに「技術の日産」の面白味が再び増してきていることがわかる氷上試乗会。

今年も目いっぱい汗をかき、日産車の本質を実感できたのだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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