現代に通じるパッケージ アウディS3(初代/8L型) 英国版中古車ガイド 四駆ホットハッチの元祖
公開 : 2023.02.08 08:25
ラリーカー級の走りにグランドツアラーの快適性
初代S3は、ホットハッチの動力性能に、ラリーカーのような走破性とグランドツアラーの快適性が融合している。日常的に乗れる万能選手的モデルとして、レシピは今でも美味しいままだ。
当時のアウディらしい柔らかいカーブを持つ、クリーンでタイトなスタイリングも魅力といえる。むしろ近年の見た目より好き、という読者もいらっしゃるだろう。
中古車の価格は、後期モデルの方が高いことが一般的ではあるものの、全体の状態がそれ以上に反映する。英国市場を調べてみると、少なくないS3の中古車が流通しているが、状態は様々。かなり走り込んだ例も少なくない。
年式にとらわれず、しっかりメンテナンスされてきた例を選ぶべきという条件は、このモデルにも当てはまる。丁寧に比較して、ベストの1台を見つけたい。
新車時代のAUTOCARの評価は
鋭くコーナーへ侵入しアクセルペダルを緩めると、オーバーステアへ持ち込める。完璧なホットハッチとはいえないかもしれないが、魅力的であることは間違いない。
速く実用的でスタイリッシュ。運転で得られる興奮も小さくない。(1999年8月18日)
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
アイドリングが不安定ではないか、滑らかに高回転域まで回るかを確かめる。マスエアフロー・メーターや点火コイル、ディバーターバルブの不具合が原因になりがち。
水温計の針が正常に動かない場合は、サーモスタットや温度センサーの不調だろう。始動時にクーラントの量が少ないと表示されるものの、リザーバータンクがフルの状態なら、ヘッダータンク部の水量センサーの故障かもしれない。
吸気マニフォールドに付くブリーザーパイプの状態を確かめる。バキュームパイプと一緒に、予防的に交換しても良いだろう。
トランスミッション
クラッチの繋がりを試乗で確かめる。走行距離が長い例では、スレーブシリンダーとクラッチ、フライホイールの交換を前提としておきたい。
サスペンション
足まわりを確認してブッシュが古いままなら、一式交換したい。前後のアンチロールバーのブッシュも同様。腐食が原因で、サスペンション・スプリングが折れることがある。タイヤは4本ともに同じ銘柄で、偏摩耗していないか観察する。
ブレーキ
ブレーキペダルの奥にあるブレーキセンサーと、ブレーキサーボ・パイプが不調になる場合がある。弱点の1つだ。
ボディ
ウインドウやドアの開口部を囲う、ラバーモール裏側で錆びることがある。ドアの下側も、確認しにくいもののチェックポイント。ルーフレール周辺なども錆びやすい。
積極的に運転されがちなホットハッチだから、事故歴も確かめたい。ボディの塗装が不自然だったり、パテが盛られていないか観察する。
インテリア
メーターパネルなどのドット表示が欠けていないか確かめる。エアコンは冷気が出るか実際に動かしてみる。グローブボックスなどのヒンジやラッチは壊れやすい。