ロンドン全域に拡大 超低排出ゾーン「ULEZ」とは何か 通行料金/対象車両は? 

公開 : 2023.02.01 06:05

ULEZの影響を最も強く受けるクルマは?

所有者が料金を支払い続ける覚悟がない限り、1980年代、1990年代、2000年代のクルマの多くが、ロンドンの道路から事実上追放されることになりそうだ。多くの市民にとってはあまりにも高額であり、クルマを売らざるを得なくなるだろう。以下は、編集部が最も惜しいと思うクルマたちだ。

ランドローバーディフェンダー

67年間生産されたオフロード車の象徴、ランドローバー・ディフェンダーは、最も新しいヘリテージエディションも含め、すべてULEZ料金の対象となる。さまざまなタイプがあり、オフロードでは無敵の性能を誇るディフェンダーは、英国自動車産業の申し子と言える。ロンドンから姿を消すのは、本当に惜しまれることだろう。

ポルシェボクスター

40年以上前に製造されたモデルであれば、クラシックカーとして支払いが免除される場合もある。
40年以上前に製造されたモデルであれば、クラシックカーとして支払いが免除される場合もある。

ポルシェに対する人気が青天井で高まり続ける中、初代ボクスターは、比較的手頃に入手できる数少ないポルシェの1つとなっている。しかし、メンテナンスにはお金がかかるため、ULEZに関連する追加コストを考慮すると、プライドと喜びを諦めてガレージにしまっておくか、泣く泣く手放すということになるのではないだろうか。

マツダMX-5(ロードスターの欧州仕様)

マツダMX-5の初代(NA)と2代目(NB)は、当時の2シーター・スポーツカーの中でも手頃な価格で手に入る。手入れが行き届いた中古車でも2000ポンド程度で買うことができるが、通勤通学で1年間ロンドンを走るだけで車体価格以上の出費になるだろう。初代MX-5が「クラシックカー」として正式に認められ、料金が免除されるようになるまでには、さらに10年待たなければならない。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、数え切れないほどのホットハッチにインスピレーションを与えたモデルで、今も最新モデルが世界各地で販売されている。初期のモデルは愛好家の手元にたくさんあるが、残念ながら初代、2代目、2代目はULEZ料金の対象になっている。ロンドン交通局によると、初期のR32モデルはまだゾーン内を走行しても料金が発生しないようだが、その数はかなり少なくなることが予想される。

BMW M3

BMWのコンパクト・スーパーサルーンの初期モデル(史上最高と言う人もいる)でさえ、ULEZの対象になっている。しかし、E30型やE36型M3の近年の価格上昇もあって、市内で見られる数はすでにごくわずかである。朗報として、E46型以降のM3(CSLも含む)が規制に適合しているため、ロンドンの道路から古くて速いBMWが消えることはまだないだろう。

メルセデス・ベンツ Sクラス

W220世代のSクラスは、ULEZ料金の境界線をかすめており、S 55 AMGをはじめ、一部のガソリンモデルは今でも料金を払わずにロンドン市内を移動することができる。しかし、英国ではディーゼルモデルの割合が高いため(ユーロ6に適合する必要がある)、通勤用に高級セダンを探している人は、中古で購入する前にもう一度よく考える必要がありそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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