新次元の疾走体験 ポルシェ911 ダカールへ試乗 ベースは479psのカレラ4 GTS 前編

公開 : 2023.02.04 08:25

ロスマンズ・カラーが目を引く、限定の911。リフトアップ・ボディに479psと4WDが融合したダカールへ、英編集部が試乗しました。

ポルシェ953をモチーフにしたカラーリング

AUTOCARのニュースでも2022年にご紹介した、ポルシェ911 ダカール。その画像へ、強く関心を抱いた読者もいらっしゃると思う。

クラシックカーや経済に詳しい方なら、賢明な投資になる1台だとお考えかもしれない。生産台数は2500台に限定され、基本的には完売状態。中国向けの一部はまだ買い手が決まっていないが、単純に注文の受け付けが始まっていないだけにすぎない。

ポルシェ911 ダカール(欧州仕様)
ポルシェ911 ダカール(欧州仕様)

高性能なSUVやクロスオーバーへ詳しい技術者なら、既存のテーマに新風を吹き込んだ、見事なマリアージュだと評価するかもしれない。車高が持ち上げられたサスペンション構造や、180km/hでも砂漠を安定して走れる秘訣を、詳しく知りたいはず。

そんな情報通でなくても、ロスマンズカラーには目が奪われるだろう。ラリードライバーのジャッキー・イクス氏が、1984年のパリ・ダカール・ラリーで優勝したマシンをモチーフにしている。

ただし、あのマシンは911をベースとしていたが、正式には953を名乗っていた。同社として初の四輪駆動モデルでもあった。

派手なカラーリングをまとい、車高が持ち上げられた911 ダカールは、ブランドショップが立ち並ぶ都心のエリアでも相当に目立つに違いない。ちなみにお値段は、911 カレラの2倍近くもする。

携行用ジェリカンやルーフテントも

正直なところ、筆者はポルシェとラリーとの結びつきを、さほど意識してこなかった。強い憧れというものがないから、911の新種を冷静に評価できる。市場の反応や喚起されるイメージを予測しながら、現実の仕上がりを確かめられたと思う。

ボディカラーと車高を除いて、シンプルに表現するなら、このポルシェはモディファイされた992型の911 カレラ4 GTSと呼んでもいい。もちろん、上昇した価格へ見合う、多くの変更が加えられているが。

ポルシェ911 ダカール(欧州仕様)
ポルシェ911 ダカール(欧州仕様)

カレラ4 GTSの英国価格は、素の状態で12万800ポンド(約1932万円)と、既にお高い。一方のダカールは、17万3000ポンド(約2768万円)へ跳ね上がる。レーシングカーへ限りなく近い、GT3 RSへ残り5500ポンド(約88万円)まで接近している。

現実的には発揮しきれないような速度域でのオフロード性能を備え、他とは一線を画す容姿で仕立てられている。確かに、価格は少々強気すぎるようにも思えるが、単なるファッションではない。しっかり、能力も鍛えられている。

ポルシェらしく、アクセサリーもふんだんに用意されている。砂漠でスタックした時に役立つラダーや、航続距離を伸ばす携行用ジェリカンだけでなく、キャンプでも使えそうな水筒やルーフテントも選べる。自ずとイメージが膨らむ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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