R8へ迫る走りを4ドアで アウディRS7(初代) 560psに実用性を融合 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.02.26 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

シリアスなドライバーは、ステアリングホイールの感触の薄さなど、クルマとの一体感の低さを嘆くかもしれない。しかし、現実的に展開できる圧倒的なスピードが、運転の楽しさを生んでいることは間違いない。

アウディRS7は、国土の広い市場にとっては理想的なモデルといえる。数名の大人と少なくない荷物を、高速で快適に遠くまで移動させることができる、スタイリッシュなクーペ風サルーンだ。(2013年11月6日)

アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)
アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)

専門家の意見を聞いてみる

アレックス・グリーン氏:フォンテイン・モーターズ社

「アウディRS7はRS6 アバントと兄弟関係にありますが、仕上がりはかなり異なります。動的能力は同等ながら、スタイリッシュで洗練され、上品さが漂いますね」

アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)
アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)

「コストパフォーマンスが高く、実用性も犠牲にしない高性能モデルをお探しなら、RS7ほど有力な選択肢はないでしょう。RS6 アバントより中古車価格はお手頃という点も魅力です。圧倒的な動力性能と優れた品質が、現実的な費用で手に入ります」

「維持費や部品代は、確かに少々高額です。燃費も良くはありません。しかし、値段と速さを天秤にかければ、これに勝る選択肢はかなり少ないはずですよ」

購入時に気をつけたいポイント

リコール

アウディはリコールを英国で複数出している。その1つは、ターボチャージャー内のエンジンオイルの循環系が詰まり、パワーロスとエンストに繋がる可能性があるという内容。これは2013年から2017年のRS7が対象だった。

もう1つは、エアコンの補助ヒーターのコネクターが正しく接続されておらず、不調や出火に繋がる可能性があるというもの。これは、2014年後半に製造されたRS7が対象。正規ディーラーで対応済みか確認しておきたい。

エンジン

アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)
アウディRS7 スポーツバック(初代/2013〜2018年/英国仕様)

バルブの開閉時間を調整するカムシャフト調整コントロール・バルブが緩み、エンジンの回転が安定しなくなる場合がある。幸い、内部構造へのダメージはないようだ。メーターパネル内の警告灯で、その兆候を教えてくれる。

タイヤとブレーキ

車重がかさみパワフルなRS7なだけに、タイヤやブレーキの減りは速い。購入時には、タイヤの残り溝や銘柄、ブレーキパッドの厚み、ディスク面の状態を確かめたい。メンテナンスに掛けられた予算の判断材料にもなる。

トランスミッション

一部のオーナーは、7速ATの内部から金属音が聞こえることを報告している。予め試乗し、異音がないか確かめたい。もし聞こえるなら別の個体を探すか、英国では5000ポンド(約80万円)ほど掛かる載せ替え費用を準備したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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