日産自動車 2028年に初の全固体電池EVを発売へ 「クラストップ」の自信

公開 : 2023.02.03 18:05

充電速度は3倍に? 従来技術も開発を継続

コスト削減の鍵となるのが充電速度だ。より速く、より安定した充電ができれば、電池を小型化しても十分実用に耐えうるようになるからだ。

「もし、3倍の速さでエネルギーを補充できるとしたら、ガソリン車と変わらなくなるのではしょうか。(電池のサイズについては)まだわかりませんが、2つのサイズを用意するかもしれません。1つは、長い航続距離を必要とするヘビーユーザー向けですが、ガソリンのようにエネルギーを補充できるなら、そのサイズは必要でしょうか」

日産は2010年に世界初の量産「リーフ」を発売した。(写真は2代目)
日産は2010年に世界初の量産「リーフ」を発売した。(写真は2代目)

充電速度を3倍にすると、従来の約130kWから400kWになるが、温度による影響を受けず、安定的に充電が行われるようになるという。

この、400kWという充電速度についてモス氏は、「それが(全固体電池で)できることなのです。今の液体電池では無理です」と述べた。

同氏によると、日産はリチウムイオン電池の技術開発にも引き続き力を入れており、少なくともあと2世代は市場投入されるという。2028年には、コバルトフリーで65%ものコスト削減を実現できると期待されている。

「リチウムイオンは、エネルギー密度の向上、効率の改善、コストの削減と、常に変化し続けています。より多くのお客様にEVをお使いいただくためには、コストが鍵となります。リチウムイオンには、あと2、3のステップが残されていると考えられます。日産にとって大きな原動力となるのは、コバルトフリー化で、2028年には市場に投入する予定です」

リチウムイオン電池は、今後しばらくは全固体電池技術と共存していくため、技術開発を続けることが重要であるとモス氏は考えている。

「(初代)リーフでは、4回の変更がありました」と同氏。リーフ向けに開発された最初の電池は、発表から市場投入までの間に技術が急速に進歩したため、量産車には搭載されなかったそうだ。

「電池はこれからも進化し続けるでしょう。電池技術の進歩は早いので、今後も研究を続けていきます。今行っていること、今日計画していることも、数年後には変わっているでしょう」

日産は2021年11月に、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表している。その中で、今後5年間で約2兆円を投じて電動化を加速させると表明した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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