ミニ・クーパーSD 5ドア
公開 : 2014.09.16 23:50 更新 : 2017.05.29 19:14
■どんな感じ?
トランク・フードは開口部がフォルクスワーゲンよりも大きくないことからトランクの使い勝手はお世辞にも優れているとは言いがたい。ただし後部座席の足元の余裕はフォルクスワーゲンのライバルよりもミニの方が断然大きい。ミニの後部座席に乗れば、誰もが明確に感じられるはずだ。
インテリアは前後方ともに、センスの良い素材の選び方をしている。柔らかいタッチのプラスティックをメインに用いながら、ところどころに金属製(あるいは金属に見える)パーツを効果的に加える点は、さすがはミニと言ったところ。どこにもやり過ぎているところは無く、いい按配に抑制されており、ミニ独特のクリエイティビティを感じる。
3ドアのミニの場合、後席にチャイルドシートを乗せると、残り2座に座るパッセンジャーは窮屈に感じることがあったけれど、5ドアではそう感じることはない。また後部座席の真中のシート用に ’3つ目’ のシートベルトが与えられた点からも5人乗車を明確に意図していることが伺える。見た目だけではない、実用性も兼ね備えたミニがようやく登場したと感じた次第だ。
BMW製2.0ℓターボ・ディーゼルは4000rpmで170ps、1500rpmで36.8kg-mを発揮。£21,675(378万円)の価値は動力性能にも反映されている。動力は従来のトルコンATを介して伝えられ、0-100km/hタイムは7.3秒、最高速度は224km/hというのがミニによる公表値。サイズにしては大きめのエンジンを載せていることになるが、複合サイクル燃費は23.8km/ℓ、CO2排出量は109g/kmとなっている。
またキャビンの静粛性が高いことも、このクルマの長所。低回転ではエンジン音がキャビンに侵入してくることはほとんどなく、ガスペダルを踏み込んでいけば、もっとも美味しい回転域をオートマティック・ギアボックスが維持し続けてくれる。ディーゼル特有の粗雑さはなく、パワーの引き出し方は、ドライバーの心を躍らせる魅力がある。
ギアレバー近くのモード切り替えスイッチを ’オート’ にした時のシフトマナーは滑らかかつ迅速。賢さのあるテイストになっている。スイッチを右に動かせば、最もエコノミカルな制御に、左に動かせばダイナミックな制御になる。それに伴いシャシーの仕立ても個別のキャラクターを見せてくれる。動力性能優先モードではディスプレイがそれを知らせてくれ、ミニならではのゴーカート・フィールは最大限に引き出される。