中古車対決! アストン・マーティンV12ヴァンテージS vs マクラーレンMP4-12C
公開 : 2014.09.16 23:40 更新 : 2017.05.29 19:33
レーシング・チームと手を組みながらも、古くからの顧客にも耳を傾けてクルマづくりを行ったのだそうだ。クルマなのにソフトウェアやアプリケーションをアップデートとしないといけない聞けば、まるで近未来の世界にタイムワープしたかのような気分になるけれど、まぁこれが今の時代のスーパーカーの現実(の一部)といったところだ。
アストンの方は新車なのだけれど、マクラーレンに比べると、どことなく古典的な雰囲気が漂う。最初にデビューしたモデルとベースは同じでありながら、大々的な改良が施されてはいるが(初期と現行型は別物と言っていい)、V12ヴァンテージSのデザイン文法が最初に出たのは2005年のことだから古典的だと感じても無理もないかもしれない。
MP4-12Cがミドなのに対して、フロント・ボンネット下に収まるV12ヴァンテージSのエンジンは6.0ℓのV12、最高出力は573psを発生する。またその出力は、後にわれわれを苛立たせることになるセミATを介して後輪へと伝達される。
マクラーレンの方にはデュアル-クラッチ・オートマティック・ギアボックスが組み合わされるがLSDは無し。一方のアストンにはLSDが組み合わされている。
アストンの内装は現代のインダストリアル・スタンダードとは、およそかけ離れた ’趣き’ のようなものがある。手仕事によって醸しだされる独特の雰囲気がそう感じさせるのだろう。そこにアルミニウムなどモダンな材料が華麗にミックスされている点は見事としか言いようがない。
トランスミッション・トンネルは高めに設えられており、もちろん内装パネルのフィッティングや仕上げは一級品ではあるが、ステレオの音質やナビゲーション・システムの使い勝手には一癖あり。ソフトウェア・アップデートで改善されるレベルではない。
この点に関しては、既にデビューから3年が経ったマクラーレンの方がうわて。マクラーレン特有の、クリーンでモダンな内装はいかにも現代的な仕立てだと感じる。用いる素材のチョイスや、その組み合わせ方は、もはやマクラーレンのお家芸と言ってもいいだろう。時がたっても時代遅れに感じないところがまた良い。
そんなマクラーレンのデビュー当初から今に至るまでの代表的な不満と言えば、やはりシートの形である。太ももが当たる部分とサイドのサポートは改善する必要がある。電動で調整できる点はいいが、そのスイッチが目に見えないところにある点、また1度セットした組み合わせを再現できない点なども、慣れで克服できるかもしれないけれど、見過ごせない欠点の一つだ。
かといって、アストンのようにデザイン重視の彫刻的すぎるシートも考えもの。マクラーレンの言葉を借りれば、”MP4-12Cの方が長距離運転やデイリーユースにおいて快適だ” と言うことになるが、これに関しては筆者も異論はない。