中古車対決! アストン・マーティンV12ヴァンテージS vs マクラーレンMP4-12C
公開 : 2014.09.16 23:40 更新 : 2017.05.29 19:33
デビュー以来、未だに衝撃なのはMP4-12Cの乗り心地だ。前後左右のダンパーを油圧によって相互リンクする方式をとる足元はバンプや溝による衝撃を、魔法のように無かったことにする。この乗り心地は現存するスーパーカーにはまずありえないレベルで、ファミリーカーでさえも同等の乗り心地を提供するクルマを見つけることは難しい。
サスペンション同様にエンジンやギアボックスのマナーも日常使いで困ることはない。オート・モード時のギアボックスは十分に賢く、マニュアル・モードでもパドル・シフトの手応えは硬いものの、シフト・マナー甘美と表現するのが適切だろう。
簡単にはターボ・ラグを看取できない点も、このクルマの素晴らしいところだ。
アストン・マーティンもグランドツアラーづくりでは名を馳せるけれど、日常でのマナーを考えるとV12ヴァンテージSは残念ながら例外のようだ。まずうるさい。それにギアボックスがもたつく。そしてアシが硬いのである。乗れば即座にスーパーカーだとわかる。そしてスーパーカーらしく乗ってくれと訴える。まさに古典的なそれである。
ならば仕方あるまい。お言葉に甘えて、躊躇わずにガスペダルを踏み込むことにする。
そうすると、いかに突出した能力をもつシャシーかを教えてくれる。同時に素晴らしいハンドリングに舌を巻く。もちろんご想像どおり、鼻先にはとても重たいエンジンを提げているにも関わらず、エイペックスに向けて操舵すれば寸分の狂いなく狙ったラインをトレースしてゆくのである。
あとは溢れんばかりのパワーをシャシーが受け止め、デフが効いてくれるおかげで旋回性能が高まるため、スロットル開度だけでコーナーをなぞるだけで良い。この速度ならばギアボックスがドライバーを苛立たせることは全くなく、冴えた、力強いギアチェンジに徹するのである。