見た目はスポーティ 走りはコンフォート ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSeへ試乗

公開 : 2023.02.13 08:25

角の取れた普段使いに適したハッチバック

ドライブモードをスポーツへ切り替えると、ステアリングホイールの重さが増し、エンジンのレスポンスが鋭くなる。だが、サスペンションの特性に変化はない。カーブの続く道を刺激的に駆け抜けられるわけではない。

とはいえ、クルマとして全体の調和が取れ、コーナーでは小さくない充足感が得られる。過度にハードな設定を与えなかったというオペルの判断は、パワートレインとのバランスを考えると正解だと思う。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSe(欧州仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSe(欧州仕様)

PHEVのシステムは、ステランティス・グループのハイブリッド225と基本的に同じ。穏やかに運転している限りは、洗練されていて滑らかだ。8速ATにはマニュアルモードが備わらず、エンジンは仕事に消極的だから、活発に運転したくなるタイプではない。

アクセルペダルを蹴飛ばすと、駆動用バッテリーの充電量に不足がなければ、爽快な加速力を楽しめる。反面、かつてオペルが提供していた高性能グレード、VXRの復活だと期待すると若干肩透かしかもしれない。

アストラ GSeは、いい感じに角の取れた、普段使いに適したPHEVのハッチバックだといえる。プジョー308のハイブリッド225より速いことはないが、それとは一味違っていて、何かが犠牲になっているわけでもない。

これまで以上に訴求力のあるモデル

そもそも新しいアストラ自体が、スタイリッシュで仕上がりに優れたモデルだと思う。インフォテインメント・システムの内容やインテリアの質感も、平均点以上だろう。これまで以上に訴求力のあるモデルといえ、それはPHEVのGSeにも当てはまる。

英国価格は、同等の装備で馬力が劣るハイブリッド180のアルティメット・グレードより、150ポンド(約2万4000円)高いだけ。4万550ポンド(約648万円)はお手頃とはいえないが、プジョー308やフォルクスワーゲン・ゴルフの同等仕様よりお値打ちだ。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSe(欧州仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSe(欧州仕様)

オペル・アストラ GSeを、切れ味の良いホットハッチだとは捉えないで欲しい。洗練度を増した、少し高いPHEV版だと考えれば合点がいく。仕上がりは悪くない。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ GSe(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万550ポンド(約648万円)
全長:4374mm
全幅:1860mm
全高:1470mm
最高速度:234km/h
0-100km/h加速:7.5秒
燃費:90.9km/L
CO2排出量:25g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:9.9kWh
最高出力:225ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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