極めて高耐久のTdi ランドローバー・ディスカバリー(初代) 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2023.02.25 07:06

ディフェンダーとレンジローバーに次ぐヒット作。価値あるクラシックになりつつある初代を、英国編集部が振り返ります。

OEMのホンダ・クロスロードも

ランドローバー・ディスカバリーは、秀でたオフロード性能と上質なオンロード・マナーを両立させたSUVだ。ただし、初期型のディスカバリー・シリーズ1ではボディロールが小さくなかった。

これに対応するため、アンチロールバーを1992年から一部グレードで採用。1994年以降は、標準装備へ改められている。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)

結果として、コーナーでの安定性は増したものの、悪路でのサスペンションの動きには制限が生じていた。ディスカバリー・シリーズ2では、それが改善されている。

1991年式までのディーゼルターボでは、パワーが若干もの足りず、ノイズや振動も小さくない。とはいえ、メンテナンスを怠らなければ、ディーゼルターボのTdiは極めて耐久性に優れる。実際、英国での支持も高かった。

当初はシフトレバーの動きやクラッチペダルも重かった。1994年に新しいユニットを獲得し、シフトフィールは改善している。

1993年から1997年にかけては、T16型と呼ばれる2.0Lガソリンエンジンが税金対策として用意されていた。しかしオフローダーとしてはトルク不足で、人気は得ていない。

1993年から1998年には、ディスカバリーのOEM仕様、ホンダ・クロスロードが日本で販売されている。見た目はまったく同じだが、ホンダのHのマークがフロントマスクで輝く。英国へ逆輸入された例もあった。

複雑なシステムを積むディスカバリー2

ディスカバリー・シリーズ2に採用された直列5気筒のTd5エンジンは、ヘッドガスケットに不具合が生じやすい。しかし、シリンダー毎に個別の燃料ポンプを搭載し、圧縮比を高め、エネルギー効率を高めている。当時はクラス初の技術といえた。

エンジンだけでなく、上質さを求めたディスカバリー2は、それ以前より遥かにシステムが複雑。アクティブ・コーナリング機能は、スピード感知式の油圧システムでアンチロールバーを制御している。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)

ボディロールを電子的でに抑え込むことで、コーナーでの安定性は高い。そのかわり修理が安く済まないことは、ご想像できるだろう。

セルフレベリング機能付きのエアサスペンションがリアに組まれ、過酷なオフロードでは車高を持ち上げられる。一方で、トレーラーを牽引する時などは高さを抑えることを可能としていた。

ブレーキを巧みに制御することで、トラクション・コントロールも前後アクスルに採用。ヒルディセント・コントロールも組み合わされている。ZF社製のオートマティックには、スポーツ・モードが用意されていた。

初代レンジローバーを起源とするシャシーと、本格的な四輪駆動システム、アップデートされたサスペンションが融合した初代ディスカバリー。しなやかな乗り心地と、悪路の走破性が両立した、訴求力のあるクラシックSUVだといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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