NA V8+FRのサバイバー レクサスLC 500へ英国試乗 小変更 お茶を濁す10速AT

公開 : 2023.02.14 08:25

FRの楽しさ 従来以上に乗り心地は向上

2023年仕様として新しくなったシートだが、ドライビングポジションに目立った変化はなし。シートのクッションは固めで座面が短いものの、運転姿勢の調整域は広い。横方向のサポート性も良好だ。

タイトなルーフ形状で、身長が185cm位ある筆者の場合、座面を1番低い位置へ下げないと頭が天井に触れてしまう。インテリアはレーザにスウェード、クロームメッキなどが巧みに組み合わされ、上質で魅力的。ラグジュアリーな雰囲気に浸れる。

レクサスLC 500 スポーツ+クーペ(英国仕様)
レクサスLC 500 スポーツ+クーペ(英国仕様)

サスペンションに施された改善は、ノーマル・モードとスポーツ+モード時の特性を顕著にすることが目的とされており、一定の成果は得ている。確かに、従来以上に乗り心地は良くなっている。

高速道路ではタイヤがしなやかに路面へ追従し、ノーマル・モードでは非常に落ち着いている。郊外の傷んだ路面に対する処理能力も、以前より向上しているようだ。

スポーツ+モードを選びステアリングホイールの感触も引き締めれば、フロントエンジン・リアドライブのダイナミックな操縦性を堪能できる。LSDを装備したLC 500のマッスルカー的な特性に、運転の楽しさを感じずにはいられない。

一方で、鋭い隆起部分をいなすのは得意ではない。大きめの窪みなどを通過すると、軽くないボディを支えきれず、乱れるような印象もあった。路面によっては、ロードノイズも小さくない。

サスとシートの微調整だけでは不充分

レクサスLC 500はシリアスなスポーツカーとしても楽しめる、優れたグランドツアラーだと思う。製造品質だけでなく、長距離を走破する能力にも秀でている。大きく重いが、説得力は高い。

一方で、与えられた可能性を最大限に活かすには、サスペンションとシートの微調整だけでは不充分だろう。改善の手を止めないレクサスが、LCを最高の味わいで調理しきる日は訪れるだろうか。モデルが終了する前に。

レクサスLC 500 スポーツ+クーペ(英国仕様)
レクサスLC 500 スポーツ+クーペ(英国仕様)

レクサスLC 500 スポーツ+クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:10万1305ポンド(約1620万円)
全長:4770mm
全幅:1920mm
全高:1345mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:262g/km
車両重量:1930kg
パワートレイン:V型8気筒4969cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:463ps/7100rpm
最大トルク:53.9kg-m/4800rpm
ギアボックス:10速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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