次期フラッグシップ・クーペ ロールス・ロイス・スペクター 試作車へ試乗 BEVは副産物 前編

公開 : 2023.02.11 08:25

ツインモーターで585ps バッテリーは106kWh

ボディは完全なオリジナル。パワートレインも含めた電動アーキテクチャも、もちろん新開発。100を超えるサブシステムと統合制御し、1万4000を超える相互通信を可能としているという。

パワーユニットは2基の駆動用モーターで、前後に搭載する四輪駆動。BMWと共同開発されており、総合で585psの最高出力と91.6kg-mの最大トルクを発揮する。駆動用バッテリーは106kWhの容量で、BMWグループとしては最大のユニットだそうだ。

ロールス・ロイス・スペクター・プロトタイプ
ロールス・ロイス・スペクター・プロトタイプ

航続距離は、想定値で515kmが主張される。車重は2975kgと、サイズに見合うだけ重い。それでも、0-100km/h加速を4.5秒でこなす。ホイールベースは3210mmもある。

さて、予習はこのくらいにしておこう。スペクターの開発責任者を務める、イェルク・ヴンダー氏は緊張した面持ちで試乗前の説明会をスタートさせた。「弊社以外の人物で、このクルマを運転するのは皆さんが初めてです」

実際にステアリングホイールを握るに当たり、数ページに及ぶ資料へ目を通し、免責事項への承認を求められた。あくまでも、開発上の試作車にすぎないためだ。自ずと、筆者も背筋が伸びる。

金色に輝くスペクターへ近寄る。ロールス・ロイスでは最長だという、長さが1.5mのリアヒンジ・ドアが自動で開く。車内を覗くと、助手席で穏やかな表情のヴンダーが待っていた。

インテリアは、従来の雰囲気へ通じている。CEOのミュラー・エトヴェシュの言葉が頭をよぎる。「これはロールス・ロイスです。巨大なモニターを押し込むなど、ギミックのようなモノは一切ありません。過剰なハイテクは必要ないのです」

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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