「これからは人だけでなくクルマも守りたい」 英サッチャム、新施設で自動車試験開始

公開 : 2023.02.13 21:25

これからは自動車も救っていきたい

ガムストンでは、自動車のライフサイクルにも注力する予定だ。

「過去10年間、サッチャムはユーロNCAP試験プロトコルの開発を支援してきました。しかし、衝突安全性を向上させる際に問題となるのは、人を傷つけないことを忘れてしまうということです。例えば、低速度での衝突でクルマが廃車になるようなケースです」

運転支援システムなど新しい技術が次々と登場する中、自動車試験の重要性も高まっている。
運転支援システムなど新しい技術が次々と登場する中、自動車試験の重要性も高まっている。

「安全性だけでなく、自動車のライフサイクルにも目を向ける必要があるのです。例えば、事故後のEVのバッテリーがどの程度安全なのかを修理業者に知ってもらい、そのまま廃車にならないようにしなければなりません。これまでは人を救ってきましたが、これからは自動車も救いたいですね」

また、EVの衝突試験の強化も図る。

「EVのような重い自動車が、小型で軽い自動車にぶつかるとどうなるかを理解するために、膨大な量の作業が行われています。サッチャムはすでにニューベリーでこのような試験を行っていますが、もっと学んでいく必要があります」

タウンゼント氏はサッチャムの役割を、自動車メーカー、規制当局、保険会社からなる三角形の角をつなぐものであるとし、この三角形はますますグローバル化していると述べた。

「サッチャムは英国の保険会社のために活動していますが、英国で保険に加入できる自動車は、全世界で保険に加入できるものでなければなりません。もし、メーカーが自社製品を社会に受け入れられるものにしたいのであれば、わたし達のところに持ってくるべきです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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