幻の横3人掛けフェラーリ、知ってる? 「365Pベルリネッタ・スペチアーレ」誕生の背景
公開 : 2023.02.14 12:36 更新 : 2023.02.14 12:38
漂う高貴な趣味性
アニェッリの365Pにはサイドにブルーのラインが走っている。これは後年のフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーやフィアット・パンダ・など、彼による他の特注車の一部にもみられる、いわばシンボルである。
歴史をひもとけば、「ディノーネ」公開前年である1965年にフィアットはフェラーリと正式に提携を調印している。
だがそれ以前から両社の関係はあった。アニェッリ個人も、それ以前に複数のフェラーリを所有している。
生前のアニェッリはルノワール、マティスそしてバッラといった、近代絵画を中心としたコレクターとしても知られ、今日でも一族が運営するトリノの絵画館で鑑賞できる。
あの高らかに鳴り響くエンジンサウンドと獰猛なエグゾーストで知られるブランドとは思えない、気品漂うフェラーリたちからは、美術コレクション同様、彼の高貴な趣味性を見る者に伝えるのである。