欧州議会がついに承認 2035年にエンジン車の新車販売禁止へ EV普及へ新たな一歩
公開 : 2023.02.15 06:05 更新 : 2023.02.21 18:37
欧州議会は2月14日、2035年にガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する法案を採択しました。排出ガス規制によりエンジン搭載車の販売が厳しくなり、EVの普及が進むものと予想されます。
賛成多数で可決 事実上のエンジン車禁止へ
欧州議会は、2035年から内燃機関搭載の自動車と小型商用車の新車販売を事実上禁止する法案を可決した。EU加盟国の承認を得て正式採用となる。
この法案では、2030年までに自動車のCO2排出量を55%(2021年比)、商用車の排出量を50%削減するという中間目標を掲げており、議員による本会議の投票結果は賛成340票、反対279票、棄権21票であった。
ただし新車の生産台数が年間1000~1万台、または商用車の生産台数が年間1000~2万2000台の少量生産メーカーは、2035年末までは規制の適用を免除される可能性がある。年間1000台未満のメーカーは、その後も引き続き免除される見込みだ。
欧州委員会は2025年までに、新車と商用車のライフサイクル全体でのCO2排出量を評価・報告するための方法を提示する予定である。その後2年ごとに、ゼロ・エミッションに向けた進捗状況を評価する報告書を発行する。
また、2026年12月までに、法的に定められた排出量規制と実際の燃料・エネルギー消費量データとのギャップを監視し、メーカー固有のCO2排出量を調整するための方法を策定する。
欧州議会の声明によると、ゼロ・エミッション車や低排出ガス車(0~50g/km)を多く販売するメーカーに対する既存のインセンティブは、販売動向に応じて調整されることになるという。バッテリー駆動の電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及が進めば、これらのインセンティブは縮小する可能性が高い。
この法案は2022年10月に合意されたもので、今後数週間以内に欧州連合理事会に送られ、正式な承認を受けることになる。
欧州議会の主席交渉官であるヤン・ハイテマ氏は、この法案について次のように述べている。
「この規制は、ゼロ・エミッション車および低排出ガス車の生産を促進するものです。2030年の目標を野心的に修正し、2035年のゼロ・エミッションを目標とします。これは2050年までに気候変動抑制に到達するために極めて重要です」
「この目標は自動車業界にとって明確なものであり、自動車メーカーにとっては技術革新と投資を刺激するものです」
「ゼロ・エミッション車の購入と運転は、消費者にとってより低コストなものになり、中古車市場もより早く追随することになるでしょう。持続可能な運転が誰にとっても身近なものになるのです」
現在、多くの自動車メーカーが排出ガス削減に向けた独自の目標を持っており、新しい法規制に歩調を合わせつつある。
例えばフォードは、2026年までに欧州向けのラインナップを完全にゼロ・エミッション対応(PHEVまたはバッテリーEV)とし、2030年からはEVのみを販売する計画だ。フォードは2021年に初の量産型EVであるマスタング・マッハEを発売し、今年後半にはフォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームをベースにした新型クロスオーバーを投入する予定である。
ルノーとプジョーも2030年までに欧州での完全電動化を目指し、フォルクスワーゲンは2030年までに1台あたりのCO2排出量を2018年比で40%削減することを目指している。
高級車メーカーも電動化を進めている。ボルボの2022年の新車販売台数61万5121台のうち41%がPHEV(23%)とEV(18%)で、ミニのベストセラー車はミニ・エレクトリックだった。
ルノー傘下のダチアは、価格優位性を維持するためにも軽量で燃費の良いエンジン車を製造することでCO2目標を達成する計画である。それでもダチア唯一のEVであるスプリングは、2022年に欧州で数多く売れたEVの1つとなっており、クプラ・ボーン、ヒョンデ・アイオニック5、ポールスター2といった他社製EVを抑えている。