中型SUVに好適な直6ディーゼル マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブDへ英国試乗 訴求力アリ

公開 : 2023.02.18 08:25

3.3LのディーゼルターボがCX-60には最適だと主張するマツダ。英国編集部がその仕上がりを一般道で確かめました。

内燃エンジンも共存できる脱炭素戦略

一層厳しいユーロ7と呼ばれる排出ガス規制が発表され、自動車メーカーは対応に追われている。新しい内燃エンジンの研究開発へ取り組む余裕はなく、バッテリーEV(BEV)が最優先という状況だ。それが正しい方向性かどうかには、疑問を抱くが。

しかし、例によってマツダは他社とは異なる。内燃エンジンが必要とされている限り、高効率化を狙える余地がある限り、諦めることはないようだ。内燃エンジンも共存できる、脱炭素戦略の可能性があると考えている。

マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)
マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)

今回試乗したマツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブDは、それを象徴するようなモデルといえる。3.3Lの直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンが、中型SUVの動力源になっている。

マツダが掲げる新しいラージ商品群、大型で縦置きエンジンのSUVというラインナップは、最近提供が始まったばかり。CX-60の他に、主に欧州向けの7シーターとなるCX-80や、世界市場で展開されるCX-70とCX-90が、今後の予定に組み込まれている。

いずれの市場でも、内燃エンジンに対する需要は小さくない。日本市場も、BEV化に対しては一歩引いた姿勢を取っている。ガソリンか軽油を燃料とする、ハイブリッドという選択肢はまだ必要とされているのが現状だろう。

3.3L 6気筒ディーゼルがCX-60に適したサイズ

2022年に発売されたマツダCX-60は、4気筒ガソリンエンジンのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)でスタートした。それに続き、同社渾身の3.3L直列6気筒ディーゼルターボが選択肢に加わった。時代へ逆行するように感じる人も、いるかもしれない。

マイルド・ハイブリッド化されているとはいえ、排気量の大きい6気筒ディーゼルを搭載することを決めた、マツダの判断理由はどこにあるのだろうか。プレミアムなパワートレインといえば、PHEVというような風潮もある現在に。

マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)
マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)

その答えは明快。このサイズのSUVなら、小さなユニットより好燃費でクリーンだからだ。同等の4気筒ディーゼルと比較して、低い回転数と燃焼温度を保ちながら必要なトルクを発生できると、同社の技術者、ハイコ・ストリーツェル氏は説明する。

もちろん、単に大きいだけではない。革新的なピストン設計と燃料噴射を制御した予混合圧縮着火技術(DCPCI)を採用し、従来以上の燃焼効率を達成させている。内部抵抗を減らし、厳密に制御することで、希薄燃焼状態を4気筒より長時間実現させたという。

「ほどんどの稼働時間で、40%以上の熱効率を実現できています。3.3Lの6気筒ディーゼルエンジンがCX-60に適したサイズだと、研究で立証しています」。と、ストリーツェルは述べている。

実際、WLTP値での燃費やCO2の排出量を比較すると、同クラスの4気筒ディーゼルエンジン・モデルより数字は良好なようだ。V型12気筒エンジンの可能性も、探ってみて欲しいところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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