中型SUVに好適な直6ディーゼル マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブDへ英国試乗 訴求力アリ

公開 : 2023.02.18 08:25

4000rpmからみなぎる太いトルク 知的な8速AT

少々難しい話になってしまったが、3.3Lのディーゼルエンジンを搭載するCX-60は、欧州では2種類から選べる。199psを発揮する後輪駆動と、254psの四輪駆動だ。トランスミッションは、自社開発となる湿式クラッチを備えた8速オートマチックが組まれる。

電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドで、スターター・ジェネレーター(ISG)が最大15.5kg-mのトルクを生み出しエンジンをアシストする。今回試乗したのは、199psの後輪駆動となる。

マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)
マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)

アイドリング時は、ディーゼルらしいザラついたノイズが車外に響く。最近では珍しいほど、ガソリンエンジンではないとわかる。しかし、発進して巡航速度に乗ってしまえば、滑らかさが大幅に高まる。

2200rpm前後までの希薄燃焼時は、現代のユニットとしてはノイズが大きいことをマツダは認めている。この影響を最小限に抑えることが、バランスに優れる直列6気筒というシリンダー構成を選んだ理由でもあるようだ。

4000rpmを超えると勢いよく回転数が高まり、太いトルクがみなぎってくる。フルスロットルを与えると、人口のエンジンサウンドが大きめに車内へ響くが、軽負荷時の車内は充分に静か。エンジンを回したいと思える個性を備え、不足なくパワフルだ。

8速ATは滑らかに変速を繰り返し、高めのギア比を保つ。ドライバーの気持ちを汲んだように、シフトダウンのタイミングも知的。印象がいい。

ステアリングホイールの裏にはシフトパドルが備わり、マニュアルでの変速も可能。適度にクイックで、運転する気持ちを鼓舞してくれる。

操縦性は良好 乗り心地にはギクシャク感

CX-60の車内空間にはゆとりがあり、ドライビングポジションは適切。定員分の大人が快適に移動できる。テキスタイルの素材感も高く、レザーとのコーディネートも魅力的に思えた。

ただし、場所によってはチープなプラスティック製部品も散見される。ドアハンドルやシフトレバーの感触は驚くほど軽く、ラグジュアリーな雰囲気にはそぐわない。ドアの開閉時の重厚感はもう少し欲しい。

マツダCX-60(欧州仕様)
マツダCX-60(欧州仕様)

このクラスのSUVとして、操縦性は良好。一方で乗り心地にはギクシャク感が伴う。路面によっては、落ち着きを失うような場面もあった。風切り音とロードノイズも、比較的車内に届くように感じた。

優れたパワートレインに見合う洗練性を得ていないことが残念。高完成度なプレミアム・モデルとしてCX-60を仕上げるために、マツダが取り組むべき余地は残されている。

とはいえ、この6気筒ディーゼルターボは、SUVに求められる高負荷や長距離走行に好適といえる。今回の試乗では、少し気を使うことで23.0km/Lという驚くほどの燃費も示した。PHEVのように充電の必要もない。訴求力は低くないといって良いだろう。

マツダCX-60 3.3 e-スカイアクティブD 200 RWD エクスクルーシブライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万2800ポンド(約684万円)
全長:4745mm
全幅:1890mm
全高:1680mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:8.4秒
燃費:20.0km/L
CO2排出量:128-130g/km
車両重量:1816kg
パワートレイン:直列6気筒3283ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:199ps/3600-4200rpm
最大トルク:45.8kg-m/1400-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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