スパ・フランコルシャンへ メルセデス・ベンツSクラス S 580e(6) 長期テスト カタログ値以上の能力
公開 : 2023.02.26 09:45
ドイツの名門ブランドが提供する、最上級PHEVの完成度は? ラグジュアリー・サルーンの実力を長期テストで確かめます。
もくじ
ー積算1万4880km 普段使いで優れた燃費を発揮
ー積算1万5137km 運転する方が好きか してもらう方か
ー積算1万6315km 最大60kWの容量で充電可能
ー積算1万9490km スパ・フランコルシャンへ
ー気分も体調も優れない日の長距離ドライブ
ー積算1万9849km アングルシー・サーキットへ
ー積算2万314km カタログ値以上の航続距離
ーテストデータ
積算1万4880km 普段使いで優れた燃費を発揮
3.0Lのガソリンエンジンを積み、500馬力を超え、車重2tを超えるメルセデス・ベンツSクラスが、普段使いで優れた燃費を発揮する。従来は考えられなかったことだろう。
長期テストで乗る、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のS 580eの場合、日常的なお買い物でも感心するほどの数字が示される。実に23.4km/Lだ。夜間に充電を済ませておけば、だが。
積算1万5137km 運転する方が好きか してもらう方か
とある知人に、クルマに乗るなら運転する方が好きか、運転してもらう方が好きか尋ねられた。ロングホイールベースのSクラスに乗っている人なら、確かに悩む質問かもしれない。
ヒーターとクーラーが内蔵されたリアシートは、見た目通りの快適さ。手元にはタブレットがあり、移動時間も飽きることはない。実際、筆者の子どもは何時間でも楽しく過ごしているようだ。
積算1万6315km 最大60kWの容量で充電可能
S 580eは、サービスエリアにある急速充電器を使えば、最大60kWの容量で充電できる。一般的なPHEVの場合、家庭用充電器で7kWの能力しか持たない例も多い。
自宅まで駆動用バッテリーがもたない場合、エンジンだけで走り切るか、割高な電気料金のサービスエリアで充電するか、毎回悩んでしまう。環境への配慮を優先するなら、大きなPHEVには乗るべきではないといえるが。
積算1万9490km スパ・フランコルシャンへ
筆者の年間予定で、クリスマス休暇に並ぶ重要なイベントがある。ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される、6時間耐久レースだ。
筆者は2004年から参戦しており、ここ11年間は1964年式のフォード・ファルコンで走っている。チームは兄と彼の息子、筆者と息子という4名体制。一生懸命取り組むから、毎年ヘトヘトに疲れる。
レースが開かれる週の水曜日に、スパ・フランコルシャン・サーキットへ入り、木曜日はプラクティスとセットアップ。金曜日が予選。土曜日が本番で、午後の4時から10時まで全開で走る。日曜日にグレートブリテン島まで戻る、という日程がお決まりだ。
この一大イベントは、長期テストのS 580eを改めて評価するのにも相応しいものだった。快適にベルギーまで移動でき、現地でのチーム車両としても活躍してくれた。今年はチームで唯一の、5シーターのクルマだった。
毎日のように、サーキットへ何人もの大人を運んだ。誰もがSクラスに乗れてうれしそうだったから、ヨシとしよう。
PHEVのS 580eで唯一の弱点といえるのが、大容量の駆動用バッテリーを搭載するため、それ以外のSクラスより荷室容量が3割ほど小さいこと。レースの装備や数日分の着替え、充電ケーブルなどを積むと、殆ど一杯になってしまう。それ以外は理想的だった。