訴求力が際立つ予感 メルセデス・ベンツEQE SUV 試作車へ同乗 AMG仕様は最大686ps

公開 : 2023.02.20 08:25  更新 : 2023.09.26 00:50

シングルの292psからツインの686psまで

インテリアのデザインは、サルーンのEQEに近い。従来的なダッシュボードに、運転席正面のメーター用モニターと、中央側のインフォテインメント用、2枚のモニターがレイアウトされるのが標準仕様だ。

高額なオプションとして、ダッシュボードのほぼ全面にパネルが展開され、3枚のモニターが実装されるハイパースクリーンも選べる。同乗したクルマにも備わっていた。

メルセデスAMG EQE 53 SUV 4マティック+ プロトタイプ
メルセデスAMG EQE 53 SUV 4マティック+ プロトタイプ

高級感が漂う車内空間は広々としており、素材も上質。荷室容量は520Lあるが、前部のボンネット内に収納空間はない。

当初設定されるグレードは、292psと57.4kg-mを発揮するシングルモーターのEQE 350+ SUVがエントリー。ツインモーター版は、292psと77.8kg-mのEQE 350 SUV 4マティックと、407psと87.2kg-mのEQE 500 SUV 4マティックになる。

メルセデスAMG仕様は、どちらもツインモーター。EQE 43 SUV 4マティックが475psと58.9kg-m、EQE 53 SUV 4マティック+が、オプションのAMGダイナミックプラス・パッケージを組むと686psと101.7kg-mに設定され、モデル最強となる。

筆者が同乗させてもらったのは、EQE 500 SUVとEQE 53 SUVの2台。どちらもエアサスペンションと後輪操舵システムが標準装備だが、異なる乗り味だった点が興味深い。

突出した敏捷性 優秀な乗り心地

EQE 53 SUVは、AMGらしく加速が鋭い。EQE 500 SUVが積む駆動用モーターとは内部の巻線構造などが異なり、高回転・高出力を実現させたという。

ドライブモードは、コンフォートとスポーツ、スポーツプラス、インディビジュアルという4種類。コンフォートで80%、スポーツで90%に最高出力が制限される。スポーツプラス時なら、EQE 53 SUVは0-100km/h加速を3.5秒でこなすらしい。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ

即時的に発生する巨大なトルクで、数字以上に速く感じられた。四輪駆動システムが生むトラクションも凄まじい。

自動的に車高が調整されるエアサスと、アダプティブダンパーによって、乗り心地も非常に優秀。加減速時のボディの傾きは抑え込まれ、路面との隔離性も見事だった。

強く感心したのが、突出した敏捷性。電子制御のアンチロール・システムを実装し、低重心化と相まって、極めてフラットに高速でコーナを処理できる。後輪操舵システムが、意欲的な旋回性を生んでいるようだ。

これほどのコーナリングスピードを実現していながら、サイドサポートの低いフロントシートが並ぶ点には少し疑問も抱いた。もっと身体を支持できるシートが載っていても良いだろう。

航続距離は350+で486kmから595km

他方、EQE 500 SUVは、落ち着いた乗り心地に強力な動力性能が融合し頼もしい。風切り音やロードノイズも最小限といえ、至福の静寂に包まれながら快適に移動できそうだ。

WLTP値での航続距離は、シングルモーターのEQE 350+ SUVで486-595kmが想定され、競争力は高い。ツインモーターでは短くなり、同乗したEQE 53 SUVで374-469km、EQE 500 SUVで465-552kmになるようだ。

メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 500 SUV 4マティック・プロトタイプ

生産拠点は、アメリカ・アラバマ州のタスカルーサ工場。これは、GLEEQS SUVが組み立てられている場所となる。

ちなみに、中国・北京の北京汽車工業株式会社と協働による合弁工場でも、新型BEVの計画が進められている。だが、これは他の市場に輸出される予定はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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