フォルクスワーゲンID Buzz 詳細データテスト 価格は高い 動力性能はほどほど 静粛性は上々

公開 : 2023.02.18 20:25  更新 : 2023.03.05 00:54

結論 ★★★★★★★★☆☆

フォルクスワーゲンの現代版タイプ2を期待させるモデルほど、頻繁に匂わされてきたクルマはない。そしてついに、ID Buzzとして市販化が叶った。キャンパーの熱狂的ファンも、実用性重視の電動ファミリーカーへの乗り換えを考えているだけのユーザーでも、ガッカリするものにはなっていないはずだ。

ただし、もっと普通の商用車的な価格を期待していたのであれば、話は別だ。このクルマの価格が高いことは否定できない。テスト車は、オプション込みで6万9265ポンド(約1122万円)。BMW i4 M50が買える金額だ。シトロエンe−スペースツアラーのエントリーグレードなら、ほぼこの半分の価格で手に入る。

結論:価格は高い。しかしバーサティリティやラグジュアリーさでは完成を見ている。
結論:価格は高い。しかしバーサティリティやラグジュアリーさでは完成を見ている。    LUC LACEY

ID Buzzのキャビンに、価格を正当化できるだけの考え抜かれた拡張性があるかどうかは、いささか意見の分かれるところだろう。パフォーマンスや航続距離も、競合モデルを凌いでいるにしても、取り立ててセールスポイントにできるほどではない。

しかし、洗練性やドライバビリティ、これ見よがしではないが上質なキャビンの雰囲気は、エクステリアの陽気なルックスと同じくらい、オーナーを喜ばせうる要素だ。

もっと小型で、パッケージングの冴えたクルマを、現代解釈版マイクロバスに期待したひとも少なくなかっただろうし、もっと手頃な値付けを望む声もあるだろう。しかし、そんな批判的な意見を持つひとびとも、実車を前にすればたちまち心を寄せるようになるはずだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

この手のクルマの長い上開きバックドアは、駐車スペースが狭いとじつに厄介だ。カーゴ仕様の両開きドアを、乗用仕様にも設定すればいいと思うのだが、なぜ用意してくれないのだろうか。

イリヤ・バプラート

ID Buzzには、ドライバーがクルマから降りると勝手にシャットダウンする、自動イグニッションシステムが採用されている。静かな電動車だから、切り忘れてひとりでに走ってしまう危険があるということなのだろう。とはいえ、それで再始動するたびに、レーンキープなどが再起動してしまって、走る前にまた切らなければいけないのはめんどくさい。

オプション追加のアドバイス

おすすめグレードはライフ・プロだが、1425ポンド(約23万円)のアシスタンスパッケージプラスと、1800ポンド(約29万円)の2トーンペイント、ラゲッジボードを含む675ポンド(約11万円)のコンフォートパッケージプラスは追加したい。

改善してほしいポイント

・インテリアのアレンジ性を増してほしい。回転式フロントシートや脱着式リアシート、車中泊用のブラインドなどがほしいところだ。
・直流急速充電は、もう少し一定のペースでチャージできるようにしてもらいたい。
・価格は下げて、航続距離は伸ばしてもらいたい。

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