フォルクスワーゲンID Buzz 詳細データテスト 価格は高い 動力性能はほどほど 静粛性は上々

公開 : 2023.02.18 20:25  更新 : 2023.03.05 00:54

内装 ★★★★★★★☆☆☆

ID Buzzの価格は安くない。となれば、インテリアにはスペースも多用途性も、そのプライスに見合ったものを求めたくなるのが人情というものだろう。たしかに、どちらも見出せる部分はある。しかし、フォルクスワーゲンは使い勝手を高める非常に多くのアイテムや機能を、標準装備とはしてくれなかった。

いまのところ、設定されているのは仕切りのないフロアを備えた5シーターのみ。バズボックスと銘打った、4つのクリップでフロアに取り付ける脱着可能なセンターコンソールも用意されるが、テスト車には未装着だった。そのぶん、前後席間の移動は容易だ。

運転席はそこそこ高く、視認性は良好。質感も悪くない。しかし、メーターの読みやすさや、各部の操作性については、疑問を感じるところもある。
運転席はそこそこ高く、視認性は良好。質感も悪くない。しかし、メーターの読みやすさや、各部の操作性については、疑問を感じるところもある。    LUC LACEY

このことは、歓迎すべきだと言える。というのも、ボディ幅が広く、一般的な駐車スペースではフロントドアを開く余地が小さいからだ。後席のスライドドアからであれば、容易に出入りすることができる。

運転席にはそこそこの高さがあり、登るように乗り込むことになる。着座姿勢は立ち気味で、脚を曲げることになる。身体の周りには広々としたスペースがあり、とくに頭上は余裕たっぷりだ。

視認性は上々で、シートの快適性も高い。マテリアルは、レザーに代わる合成皮革や、可能な限りリサイクル材を用いたプラスティックやテキスタイルなど、軽量素材を多用。そのチョイスは、商用車的な雰囲気を想像していると困惑を覚えるようなものだ。

キャビンの収納スペースはそこそこ揃っているが、有り余るほどではない。だからといって、ダッシュボードの上に新聞や工具を置くのはやめたほうがいい。一気にバン臭くなってしまうから。

計器類や二次的な操作部は、まずまず整理されているが、わずかながらおかしなところもみられる。ステアリングホイールの向こうにある小さなデジタルメーターは、速度や走行可能距離、運転支援システムのセッティングが表示されるが、もっと見やすくすることもできたはずだ。

トランスミッションの操作は、ステアリングコラム右側のレバーで行う。これはもうひとつのやや残念な点だ。というのも、メーターパネル横にシフトセレクターを配置し、ワイパーや方向指示器、ライトをコラムレバーで操作するID.3などのレイアウトに慣れたドライバーは、また違うレイアウトに慣れなくてはならないからだ。

後席は、スライドとリクライニングを備えているが、前方跳ね上げや脱着はできない。前席には、キャプテンシート的な回転機構も用意されていない。トリックは全て失われた、というのがわれわれの見解だ。

荷室はかなり広いが、フルフラットの積載スペースを得るには後席フォールドだけではなく、脱着式ラゲッジボードのマルチフレックスも必要だ。この場合、積載フロアが高くなり、その下にも荷物を積むことができる。フロアをもとの位置に戻せば、大型SUV並みの積載高が得られるので、かさばるアウトドア用品も楽に積載できる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事