フォルクスワーゲンID Buzz 詳細データテスト 価格は高い 動力性能はほどほど 静粛性は上々

公開 : 2023.02.18 20:25  更新 : 2023.03.05 00:54

走り ★★★★★★★☆☆☆

ID Buzzは現代の実用車で、快適性と万能性を狙ったクルマだ。レスポンスとドライバビリティに優れてはいるが、少なくともシングルモーター仕様では、慣れ親しんだディーゼル中型商用車のパフォーマンスレベルに達しない。

おそらく、これはそこまでの走りを求められるクルマではないだろう。オリジナルのタイプ2は、40psの水平対向4気筒を積み、全開でも105km/hしか出なかったのだから。

EVらしい優れた加速性能を望むには、モーター出力は小さく、重量は大きい。それでも、サイズが近いディーゼルの商用車とほぼ同等のタイムをマークする。
EVらしい優れた加速性能を望むには、モーター出力は小さく、重量は大きい。それでも、サイズが近いディーゼルの商用車とほぼ同等のタイムをマークする。    LUC LACEY

だからといって、このクルマの運転がつまらないというわけではない。洗練性や遮音性はほめるに値するもので、市街地では小気味よく無駄のない加速をみせ、80km/hくらいまでなら速さを感じられる。

そこを超えると、だんだんサイズやウェイトを感じるようになり、高速道路を速めのペースで走るのは苦しそうだ。それでも、0−97km/h加速は、湿った路面でも9.5秒をマーク。これなら、0−100km/hも10.2秒という公称値を切るだろう。

48-113km/hの中間加速は9.1秒で、トランスポーター 2.0 TDI スポーツラインの9秒フラットと大差ない。必要とあれば、それなりの速さを発揮してくるはずだ。

コースティングやエネルギー回生の選択肢は限られている。スロットルオフでの回生を最大限使いたいときは、Bモードをセレクト。スポーティでない走行モードに切り替えれば、慣性を保って走らせることも可能だ。ただし、回生を切ってのコースティングはできない。

けれども、混んだ道ではエネルギー回生を盛んに行い、積載量が多くなればなおのことそれが増す。であれば、回生を切って最大限のコースティングを行うモードがあれば、エネルギー効率が最適化できたのではないだろうか。ほかのEVメーカーは、そういう設定を用意している。高効率化と航続距離はID Buzzの課題なのだから、尚更そう思えてならない。

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