バッテリーは最大624kWh スカニアが開発中の電動トレーラー ノルウェーで試乗 後編

公開 : 2023.02.27 08:26

能力に優れる電動トラック 普及への課題は多い

筆者へ許された試乗時間は、1度に15分間。2度目もトライして、スカニアのトレーラーヘッドとお別れした。

除雪でできた雪の壁へは、最後まで突っ込むことはなかった。速度域は低かったものの、驚くほど自信を持って操ることができた。難解なバックでの駐車は試していないが。

スカニアが開発中の電動トレーラーヘッド
スカニアが開発中の電動トレーラーヘッド

正直なところ、筆者はBETの普及に対して余り楽観視はしていない。スカニアの担当技術者が説明するように、600Lの軽油タンクを積んだ従来のモデルと同様の航続距離を、BETも実現できるかもしれない。だが、それだけではない。

そのBETを走らせるには、欧州全土のトラックストップなどに、強力なメガワット級の急速充電器を何基も設置する必要がある。ところが、BEV用の急速充電器ですら設置に手間取っているというのが現状だ。必要とされる電力量も桁違いに大きい。

加えて長距離トラックの場合は特に、稼働時間が収益へ直結する。45分の充電で320km程度の航続距離は、充分とはいえないだろう。車両コストも重要になる。スカニアのBETは、同等のディーゼルエンジン・モデルの2倍以上の価格になるという。

一方で、世界は着実に電動化への準備を進めていることも実際ではある。スカニアは、未来を見据えた次世代トラックの準備へ取り組んでいる。少なくとも、優れた能力を得るであろうことは、今回の試乗で確かめられたといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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