フォルクスワーゲン EV部品の内製化でコスト削減 2025年以降の次世代モデルに導入

公開 : 2023.02.21 18:25

フォルクスワーゲン・グループは、EVの電気駆動部品を内製化することでコスト削減を図ると発表しました。バッテリーや熱管理システムを自社開発し、充電速度とエネルギー消費効率の改善を目指します。

EVの低価格化へ 効率向上目指す

フォルクスワーゲン・グループは、重要な電気駆動系部品を自社開発していくと発表した。高出力のEV向けに、軽量でコンパクトなパワーユニット開発に取り組んでいることも示唆している。

同社はスペイン・バルセロナで開催された展示会「Tech Day」において、2025年以降の電気駆動系部品に関する計画を新たに発表し、新しいバッテリーや充電器、パルスインバータ、熱管理システムなどのコンポーネント開発をどのように進めていくかを説明した。

内製化した電気駆動部品は、2025年から次世代EVに使用される予定だ。
内製化した電気駆動部品は、2025年から次世代EVに使用される予定だ。    フォルクスワーゲン

パルスインバータはECUとほぼ同じ役割を果たすもので、EVの性能に大きく影響し、熱管理の改善により効率を向上させることができる。これらのサブシステムは従来、外部サプライヤーから購入していたが、フォルクスワーゲン・グループは垂直統合戦略を追求することで開発プロセスを加速・合理化し、自動車1台あたりの消費者のコストを削減できる可能性があると述べている。

同社の声明では、「ワンソースから供給されるフォルクスワーゲンの駆動システムは、効率とコストに大きなメリットをもたらします。個々のコンポーネントの最適な組み合わせだけで、最大20%の効率アップが可能です」とされている。

エントリーモデルの低価格を維持するためには、開発・製造コストの最小化がカギとなる。新型のEVハッチバックを予告するコンセプトモデルがまもなく公開される予定だが、こちらは2025年に約2万ポンド(約320万円)での発売を目標としている。

また、同社はパワートレイン開発プログラムを全面的に内製化することで、上級モデルにもメリットがあるとしている。エントリーモデルのEVから高出力のスポーツカーまで、ラインナップ全体に社内開発の技術が使われるものと予想される。

フォルクスワーゲンは「モジュール式ツールキットの原理により、エントリーレベルのエンジンから将来的には500kW(680ps)以上の出力を持つスポーツカーまで実装することが可能です。現在、この技術は量産化に向けた開発が進んでおり、すでに次世代MEBで使用することができます」と述べている。

MEBプラットフォーム(現在、フォルクスワーゲンID.3アウディQ4 eトロンなどのEVに採用)の次の世代は、社内で「MEBエボ」と呼ばれ、航続距離、充電速度、性能が全面的に改善されると言われている。低価格のエントリーモデルには、「MEBエントリー」と呼ばれる小型のプラットフォームが採用される。

エネルギー消費効率の改善とコスト削減に加えて、従来は整合性が低く生産コストを押し上げていた熱管理システムを中心に、部品のタイトなパッケージングと軽量化に取り組んでいる。

新しい「オールインワン」熱管理システムは、車内の空調と高電圧バッテリーの冷却を制御し、充電速度の向上、軽量化、そして20%の効率アップに貢献するという。

フォルクスワーゲンの広報担当者は、「当社の目標は、電動モビリティにおいても技術面でリーダーシップを発揮することです。そのために、パルスインバータや熱管理システムの開発を引き継いでいます。フォルクスワーゲン・グループは将来的に、全体的に最適化された完全なシステムを提供できる、数少ない自動車メーカーの1つになるでしょう」と話す。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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