2035年の欧州エンジン車禁止 小規模メーカーに「救い」の手も 消えない灯火

公開 : 2023.02.21 18:45

排出ガス削減には少しでも努力を続ける

多くの小規模メーカーは当分の間、ガソリンエンジンを使い続けるだろう。しかし、代替品への投資を続ける企業も少なくない。

ブリッグス氏は、「わたしは万能薬のようなソリューションは存在しないと考えています。適材適所のソリューション選択が、最も効率的だと思います」と語っている。BACフォードとの提携でフォード製エンジンを使用しているが、この関係を活かし、電動化で「先手を打つ」ことができるという。

モーガン・スーパー3
モーガン・スーパー3

一方、アリエルのサンダース氏とシーバート・サンダース氏は危機感を示している。「2035年までに大企業が内燃機関を作らなくなれば、適切なパワートレイン、特に高性能なパワートレインが存在しなくなるでしょう。エンジンの小規模製造は、スーパーカー業界では行われるかもしれませんが、当社のようなメーカーにとっては現実的なものではありません」

そのため、アリエルは排出ガス削減のために「少しでも努力していく」という。昨年披露されたEVのハイパーカー(車名)で得た経験は、今後のゼロ・エミッション車の開発にも活かされている。「アリエルのモデルは高速で楽しいレクリエーションカーですが、わたし達全員が地球規模の排出量削減に積極的に取り組むことが、当社にとってもお客様にとっても重要なことなのです」

排出ガス規制が強化される中、重量を最小限に抑えることは英国の小規模メーカーにとって非常に重要だ。ブリッグス氏は、次のように語っている。

「世界の排出量の50%は製造業に起因しています。建物のコンクリートであれ、自動車の部品であれ、製造量が少なければ少ないほど、世界的な排出量も少なくなるのです」

「当社は革新的なグラフェン技術によって、より軽量な複合ボディパネルを製造しています。炭素繊維の使用量を減らすことで軽量化を図り、製造工程での排出量も減らしています」

米国エネルギー情報局によると、製造業は世界の総エネルギーのおよそ54%を消費している。

モーガンの広報担当者は、「モーガンは内燃機関であろうと代替パワートレインであろうと、軽量で、手作りの、運転が楽しい、オーダーメイドのスポーツカーを生産することにこだわっています。これこそが、現在そして未来のお客様が求めているものであることをわたし達は知っています」と述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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