切断された愛車をコンテナで発見! 日本で1台のレクサスGSF 盗難→ヤフオク出品の顛末

公開 : 2023.02.22 09:00  更新 : 2023.03.31 09:34

Kさん単身で解体業者のヤードへ

「ヤードが特定できたので行ってみることにしました。外から私のGSFが見えました。ハーフカットされた状態でコンテナの上に載せられていました」

「現場には三重県桑名市にある桑名警察署の刑事さんが5〜6人、制服を来た警察官とあわせて10名ほどが柔名署から来てくれましたね」

Kさんの愛車だと思われるレクサスGSFが、ハーフカットされた状態でコンテナの上に載せられていた。
Kさんの愛車だと思われるレクサスGSFが、ハーフカットされた状態でコンテナの上に載せられていた。

KさんのGSFが見つかった解体ヤードの責任者に聞いたところ、
「このクルマは大阪の業者から40万円で買った。領収書もある。盗難車とは知らなかった」と弁明。自分たちは「善意の第三者である」ことを主張したという。

「日本の業者とイランかアラブ系の外国人とで、うまいこと役割分担をして責任の所在をあいまいにしていると私は感じました」

「ですが、目立った損傷はもちろん小さな傷さえもほとんどないピカピカのGSFを40万円で解体業者が買い取るというのもおかしな話です」(Kさん)

盗難車と知って購入した?

KさんのGSFと全く同じ仕様のクルマを持つオーナーであり、Kさんの友人であるAさんは盗まれたGSFの捜索やヤードの特定などに尽力した。Aさんは怒りをあらわにする。

「出品されているパーツを見てもおかしいと感じます。普通、解体業者に持ち込まれるクルマは事故で大破してフロントがつぶれているとか、リアがつぶれているとか、左右どちらかに大きな損傷があるとか……そういう個体ですよね? ですが、出品されているクルマのパーツを見ると全部揃ってるんですよ。全くきれいな状態で。しかも、盗難車とわからないための偽装工作でしょうか? わざとらしく擦り傷などを付けた痕跡もありました。そしてこのクルマは当然、車台番号の部分も削られているんですよ。1000万円以上するクルマなのに購入価格は40万円。誰が考えてもおかしいでしょう。盗難車と疑わない方がおかしい」

監視カメラに写っていた、盗難時のようす。ヘッドライトがついているクルマがKさんのレクサスGSF。奥に停まっているトヨタ・クラウンから窃盗グループが現れた。
監視カメラに写っていた、盗難時のようす。ヘッドライトがついているクルマがKさんのレクサスGSF。奥に停まっているトヨタクラウンから窃盗グループが現れた。

三重県では「ヤード条例」が施行されている

なお、三重県では2021年10月1日から全国の都道府県で5番目となる通称「ヤード条例」が施行されている。

三重県での呼称は「盗難自動車の解体及び輸出の防止等に関する条例」とされており、愛知や千葉などのヤード条例とは異なり条例名に「盗難」(盗難という言葉をヤード条例に使ったのは愛知県が初)のほかに唯一「輸出」の2文字が使用されている。

概要を紹介しておこう。

・取引相手の確認→引き取る自動車が盗難自動車の疑いがある場合は、警察官に申告しなければならない。

・自動車の保管命令→警察本部長又は警察署長は、引き取られた自動車が盗難の疑いがある場合には、その自動車などの保管を命令できる。

・土地貸付者に対する勧告→公安委員会は盗難自動車が引き取られていると認めるときは、土地又は建物の貸付者に対し、必要な措置をとるように勧告できる。

なお、これらの命令に従わない場合や違反をした場合には30万円以下の罰金をはじめとした罰則も適用される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事