一度は乗りたい極上のスポーツカー 10選 運転にワクワクを求める大人へ

公開 : 2023.02.25 18:05

4. シボレーコルベットC8

アメリカン・スポーツカーを象徴するコルベットの8代目において、GMがエンジンをフロントマウントからミドマウントに変更するという「ギャンブル」に出たことについては、多くのことが語られてきた。これには、重量配分を改善してハンドリングのポテンシャルを高めるという客観的な理由もある。今やミドシップレイアウトがスポーツカー市場の中で大きな注目を集めるようになっており、先代のC7コルベットのフロントエンジンは、最新世代の消費者にとって過去の遺物のようになったということだ。

GMが最終的にどのような理由で決断したかはさておき、その価値はあったと言えるだろう。そのスーパーカー的なルックスとは裏腹に、クーペが8万1700ポンド(約1330万円)、コンバーチブルが8万7110ポンド(約1420万円)というポルシェ911カレラ並みの価格設定に目を奪われるが、C8コルベットの美点はコスパにとどまらない。

4. シボレー・コルベットC8
4. シボレー・コルベットC8

スモールブロックのV8エンジンはスロットルレスポンスに優れ、中間レンジのパワーデリバリーが素晴らしく、6500rpmを超える回転も好ましいうえにサウンドも極上だ。パフォーマンスは「スーパーカークラス」というには少々遠いかもしれないが、この価格で0-100km/h加速3.0秒前後という数字に文句をつける人はいないだろう。

C8のハンドリングは安定性と正確性に富み、フロントエンジンのどのモデルよりも素直でクイックなドライビングが可能だ。ポルシェ992のような完成されたクルマからプレッシャーを受けても、独自の魅力を維持できるスポーツカーは、かなり優秀に違いない。

キャビンの人間工学的には癖があり、質感においてもライバルに及ばない点がある。しかし、コルベットのようなクルマが存在すること、しかも右ハンドルであることに感謝せずにはいられない。誰にでも無条件にお勧めできるわけではないが、留意すべき点は少なく、多少のデメリットもクルマ自体の大らかな性格で簡単に相殺できる。

5. アルピーヌA110 R

スタンダードなアルピーヌA110は、「手頃な価格のスポーツカー」として別枠で評価しているが、最近発売されたRモデルはワンクラス上のスポーツカーとして見るべきだろう。パワーという点では標準車とそこまで大きな差はないが、ドライビングのスリルとハードコアなサーキット走行に耐えうる性能を備えており、ただひたすらハンドルを握りたいという人にとって望ましい選択肢である。

カーボンファイバー製ボディと身体にフィットするワンピースシートにより、ただでさえ軽装のA110が34kgも軽量化され、サスペンションには20ウェイ調整式ダンパーとヘルパースプリングが採用されている。デフォルトでは、従来のフラッグシップモデルであるA110 Sよりも10mm低く、10%硬く設定される。また、グリップの高いミシュラン・パイロットカップ・スポーツ2がポテンシャルをさらに高めている。

5. アルピーヌA110 R
5. アルピーヌA110 R

公道ではこれまで以上に乗り心地が硬くなったと感じられ、騒音も増しているが、ステアリングはよりシャープになり、限界域では鬼のようなボディコントロールが可能になった(標準車は限界域で浮足立ってしまう)。路面に粘り強くしがみつき、サーキットではそれがさらに顕著になる。

では、なぜランキングで上位に食い込めないのか? ターボチャージャー付き1.8L 4気筒には、このようなグリッピーなシャシーを使いこなすだけのパンチが欠けているためだ。しかし、余計なものがない「引き算の美学」を示す典型的な例とも言える。A110 Rは素晴らしいマシンで、将来的にコレクターズアイテムとなることも間違いないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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