一度は乗りたい極上のスポーツカー 10選 運転にワクワクを求める大人へ

公開 : 2023.02.25 18:05

6. ジャガーFタイプ

デビューから10年近くが経過したジャガーFタイプは、「お別れツアー」を始めている。ジャガーは2023年末にFタイプの生産を終了すると発表しており、直接的な後継車は用意されていない。だが、無理もない話だ。ジャガーの創立者ウィリアム・ライオンズ卿が設計したEタイプの後継として大いに期待されたものの、その販売動向は現代のスポーツカー市場について多くを物語っている。

2013年に発売されたとき、AUTOCAR英国編集部はクールで信頼性の高い「現代版TVR」のようなクルマとして消費者の評価を受けるだろうと想像していた。そして実際、しばらくの間はそのような反響が見られた。しかし、時代は少しずつ変わっている。上はアウディR8のようなスーパースポーツカー、下はポルシェケイマンアルピーヌA110のような比較的安価なスポーツカーまで、世のパワートレインは次々とミドシップに移行。Fタイプもそれに追随せざるを得なくなったのである。

6. ジャガーFタイプ
6. ジャガーFタイプ

そこでジャガーは、6気筒の人気が高まる中で4気筒を導入し、Fタイプへの関心を再び呼び起こそうとした。2020年初頭に行われたフェイスリフト以降、Fタイプはそれまでよりもさらに多くの市場に展開している。

レンジトップでは、最高出力575psを発揮する「R」が911やアストン マーティンヴァンテージのライバルに。エントリーでは6万ポンド(約980万円)以下で300psを実現。ミドルレンジではV8、後輪駆動の「P450」がギャップを埋める。そして、ジャガーXK120から続くスポーツカー75周年にちなんで、V8モデルには「75」のバッジが付けられ有終の美を飾ることになった。

改良に伴う新しいスタイリングにより、ビジュアルは確かに新鮮なものとなった。英国編集部はこれまで最上級のR AWDにしか試乗できていないが、どこか前時代的なV8ホットロッドのスピードとノイズに魅了され、しかもハンドリングの正確さとシャシーの落ち着きに感動してしまった。

Fタイプは、伝説的なEタイプの後継を待ち望んでいた人々に支えられてきたが、年を重ねるにつれ、その欠点は無視できないものになってしまった。確かにまだ魅力的で、走りも良いのだが、貧弱なパッケージのインテリアが足を引っ張り、リフレッシュされた外観も見慣れたものになりつつある。

7. メルセデスAMG SL

メルセデス・ベンツSLは長年にわたり、ハードなスポーツカーと快適なクルーザーの間で揺れ動いてきたが、この最新の7代目では明らかに前者を目指している。AMGのエンジニアたちによって専用設計され、新開発のアルミニウム製プラットフォームを採用していることからもSLが目指すものがよくわかる。

従来の折りたたみ式ハードトップに代えて軽量なファブリックルーフを採用したこと、四輪操舵(4WS)を設定したこともSLの性格を示している。エントリーモデルのSL 55は最高出力477psのツインターボ4.0L V8を搭載し、0-100km/h加速3.9秒、最高速度295km/hとされる。これではちょっと物足りないという方には、585psのSL 63が用意されている。

7. メルセデスAMG SL
7. メルセデスAMG SL

いずれも先代よりダイナミックで高性能なクルマだ。クイックなステアリング、強力なグリップ、張りのあるボディコントロールによって、正確かつ冷静にコーナーを駆け抜けることができる。四輪駆動のおかげで、V8エンジンの強大なパワーをコーナーで存分に発揮することができ、ドライバーの高ぶりを許容できるセンスも備えている。

とはいえ、ポルシェ911レベルの対話と俊敏性を期待するには少し大きすぎるし、肥大しているようにも感じられる。しかし、A地点からB地点への移動は楽で、アダプティブダンパーが快適な乗り心地を実現し、インテリアもSクラス並みに豪華になった。その結果、気分が乗っているときは積極的に遊び、そうでないときはくつろぐことができる、優れたオールラウンダーとなったのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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