最大の弱点はABC メルセデス・ベンツCL(C215型) 英国版中古車ガイド 精悍なビッグクーペ

公開 : 2023.03.02 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

乗り心地は最高。CL 500は、路面の不整から乗員を見事に隔離してくれる。しかし、メルセデス・ベンツに期待する圧倒的なボディ剛性までは得られていないようだ。その僅かなヒントが感取される。

とはいえ、ほぼすべての条件でCL 500は見事に能力を発揮する。素晴らしい直線加速を生む動力性能に、優れたシャシーが組み合わされている。最高に洗練された、スーパークーペといっていい。(2000年6月14日)

メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)
メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

スチュアート・タラント氏

「1年落ちのCL 500を購入して以来、これまで16万kmを走りました。他のメルセデス・ベンツも乗り継いでいますが、CLほど感銘を受けたモデルはありません」

メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)
メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)

「見た目も乗り心地も素晴らしく、高速道路では驚くほどスムーズです。しかし、整備にはかなりの費用を掛けています。ガソリン代も相当なものです。完璧とはいえないでしょうね」

「状態が悪い例は、お金が飛ぶように消えるかもしれません。注意してお選びください」

購入時に気をつけたいポイント

サスペンション

C215型の最大の弱点となるのが、最先端だったアクティブ・ボディコントロール(ABC)・サスペンション。正常に機能すれば素晴らしい装備だが、信頼性は高くない。修理には相当な金額が必要になる。

相互接続された前後左右4本のダンパーへ掛かる油圧を調整し、安定した姿勢制御としなやかな乗り心地を叶えている。車高も自動調整され、高速域では25mm下がる。不具合に悩まされたというオーナーは少なくないため、事前に動作は確認したい。

エンジン

メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)
メルセデス・ベンツCLクラス(C215型/1999〜2006年/英国仕様)

V12エンジンの場合、一部でオイルクーラーのOリングが劣化しやすく、オイル漏れしがち。ロッカーカバーからもオイル漏れしやすい。バランサーシャフトに不具合がないか、事前に確認しておきたい。

V8エンジンはツインスパークで、プラグとコイルパックは16本必要になるが、さほど高価ではない。V12エンジンは12本で済むが、かなり高い。プラグを交換すると、不具合を招きやすいという報告もある。

トランスミッション

ATの速度センサーの異常で、変速しなくなる場合がある。エンジンの警告灯が、その不調を教えてくれる。後期型では修理キットが提供されているものの、初期型では新しいバルブボディへ交換する必要があり高く付く。

ボディ

各部の雨水の排水口がきれいなら、丁寧に整備されてきた証拠。詰まると水が車内へ侵入してしまう。

C215型のボディは錆びることがある。リアフェンダーやドアの下部、リアガラスの周辺、トランクリッドのエッジなどが弱点だ。

電気系統

ECUなどの主要な電子頭脳は、助手席の足元付近に集結している。ここが湿っている場合は、電気的な不具合を招きやすい。

エバポレーターの温度センサーが水の侵入などで不調になると、エアコンが故障する。事前に正常に動くか確かめたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事