ウラカン・シリーズのV10は忘れない! 自然吸気・純エンジン車のランボルギーニに感謝
公開 : 2023.02.25 18:35
今だけのサウンド どんな感じ?
乗り心地は、太くて扁平なタイヤからの硬質なショックは伝わるものの、この程度のスピードでもサスペンションのストロークは感じられ、角はうまく丸め込んでくれるので、自然吸気V10の響きを耳にしながら、快適に距離を重ねていける。
でもそれはウラカン・エボにとっては副業と呼べる領域。本来の能力を試すべく、高速道路に出たところでマニュアルモードに切り替え、右足に力を込める。
V10独特のサウンドを響かせながら、8500rpmから始まるレッドゾーンまで、澱みなくきっちり回りきる。
スペックの数字でもわかるように、回していくにつれパワーとトルクがリニアに上乗せされていく感じで、レスポンスはあらゆる回転域でリニア。ターボエンジンでは味わえない感触を堪能できる。
音はストラーダからスポーツ、コルサと切り替えていくにつれて、少しずつ激しくなっていく。
それはターボエンジンのような、排気音に支配されたものとは違う。機械の音がしっかり感じ取れる。自然吸気にこだわり続けてくれたことに感謝したくなる。
純エンジン・ランボとのお別れ
この日のステージで試す限り、ハンドリングは自然そのもの。
裏ではLDVIがきめ細かい制御をしているのだろうが、四輪操舵をはじめとして、技術を誇示するような効きを示すことは皆無で、高水準の走りを安心安全の中で味わうことができる。
一部の人がランボルギーニというブランドから受ける一種の危うさが、まったく感じられない。というか想像以上にクレバーなスーパーカーだった。
だから作り手は操る楽しさを重視する人向けに、後輪操舵を省いたRWDも用意してきたのだろうが、今後電動化を進めていく際に、LDVIのようなテクノロジーがより有効になり、ランボルギーニというブランドのアドバンテージになることは間違いない。
とはいえ今回の試乗であらためて、自然吸気V10の存在感の大きさを再確認したことも事実。
ライバルがターボ化や電動化を進める中、それをキャラクターとしてアピールしてきたランボルギーニが、自分がその立場に立った時どういう表現をするのか。
熟成の域に達したウラカン・エボを堪能して思い浮かんだのは、今後もランボルギーニらしい道を切り拓いていってほしいという願いだった。
ウラカン・エボ スペック
ランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル
全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:332g/km
乾燥重量:1422kg
パワートレイン:5204cc V10
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:61.2kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速DCT