過剰さが痛快な700ps フォードF-150 ラプターRへ試乗 ラム1500 TRXへ抗戦

公開 : 2023.03.04 08:25

通常のF-150では物足りない?そんなユーザーへ700psのラプターRが登場。パワー過剰なトラックを英編集部が評価しました。

過剰競争が進む北米のピックアップトラック

いつの時代にも、過剰さを求める人が一定数はいる。近年は、北米のピックアップトラック同士で過剰競争が加熱しているようだ。ラムやシボレーといったライバルを圧倒するために、フォードは究極のF-150をリリースした。

日本では馴染みが薄いフォードのピックアップトラックだが、英国ではレンジャーというハイラックス・サイズのモデルが販売されている。高性能仕様としてレンジャー・ラプターも用意され、島国の限られた原野を疾走することを可能にしている。

フォードF-150 ラプターR(北米仕様)
フォードF-150 ラプターR(北米仕様)

しかし、今回ご紹介するすのはフルサイズ・モデルのF-150がベース。5.2LのV型8気筒エンジンをスーパーチャージャーで過給し、最高出力700psを繰り出す、F-150 ラプターRだ。

外径37インチという巨大なオールテレーン・タイヤを覆うべく、車高が持ち上げられ、フェンダーは外へ膨らんでいる。全長は5908mm、全幅は2210mm、全高は2047mmと、かなり大きい。英国や日本の、一般的な駐車場には収まりきらない。

ステランティス・グループのライバル、ラム1500 TRXへの対抗心がむき出しといえる。こちらはダッジ・チャレンジャー・ヘルキャットが搭載する6.2L V型8気筒のヘミ・ユニットをボンネットに押し込み、派手なグラフィックでフォードを挑発する強敵だ。

0-100km/h加速は4.0秒 0-400mは13秒以下

フォードは昨年、F-150 ライトニングと呼ばれるバッテリーEV(BEV)のピックアップトラックを発売し、環境への配慮も忘れていないことを示している。モダンでクリーンで、一度の充電で515kmも走れ、近未来的に仕上げられている。 580psもあるが。

かたやF-150 ラプターRの黒光りするフロントグリルには、堂々とFORDと記され、オレンジ色のLEDデイライトが周囲で灯り強調する。メーカーの広告看板のように。テールには極太のマフラーが左右から突き出ている。戦車の砲身に見えなくもない。

フォードF-150 ラプターR(北米仕様)
フォードF-150 ラプターR(北米仕様)

フルサイズのピックアップトラックとして、通常のF-150のように実用性は高い。数人の子どもを2列目シートに座らせ、数台のマウンテンバイクや遊び道具を運べる。

最大牽引重量は3946kgもあり、キャンピングトレーラーやボートを積んだトレーラーを難なく引っ張れる。駐車できる場所を選び、バックは難しいかもしれないが、モンスター級の割に使い勝手は悪くない。

V8エンジンは、アクセルペダルを優しく傾けている限り、マスタング・シェルビーGT500と同じくらい従順。最大トルクが88.3kg-mへ増強されているため、唸りは重厚だが。

思い切り右足を蹴飛ばせば、2756kgある車重をものともせず、F-150 ラプターRは猛然と加速し始める。0-100km/h加速は予測値で4.0秒。0-400mダッシュは12秒台前半だという。

ちなみに、最高出力712psを誇るラム1500 TRXの0-100km/h加速は4.5秒。F-150 ラプターRの方が約300kgも軽いため、勢いは激しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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