最速が楽しいとは限らない スバル BRZ(初代/ZC6型) 英国版中古車ガイド あえて低い限界領域

公開 : 2023.03.07 08:25

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ニール・ウィン氏

「2015年のグッドウッド・フェスティバルで開かれたトヨタのプロモーション・イベントに、86を利用したドリフト体験会がありました。スキッドパン上で、2速に限定された低速ドリフトでしたが、自由度の高いシャシーへ惚れ込んだんです」

スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)
スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)

「自分の人生で所有するべきクルマだと決心しました。幸運にも数カ月後に、新車のようなBRZのワンオーナー車が、近所のディラーで販売されているのを発見。購入に至りました」

「まさに完璧といえるようなクルマで、今でも運転を心から楽しんでいます。標準タイヤのミシュラン・プライマシーはウェット時のグリップが弱かったので、今はワイドなホイールにパイロットスポーツ4を組んで履かせています」

「アイバッハのローダウン・スプリングと、剛性の高いアンチロールバーへ交換もしています。これらのアップグレードで、コーナリングが一層シャープになりましたね」

知っておくべきこと

初代BRZはチューニングのベース車両としても好適。英国でも、各社から数多くのパフォーマンス・パッケージが提供されている。名門コスワースなら、スーパーチャージャーを組むことで、280馬力以上の最高出力と31.0kg-mの最大トルクを実現できる。

既に改造されているBRZを購入する場合は、その内容を精査したい。部品の銘柄もチェックポイントになる。

スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)
スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

アイドリングが安定しない場合は、ECUのソフトウエア・エラーが原因かもしれない。再マッピングで解決できる。

ステアリング

低速での旋回中にコツコツと叩くような音が出る場合は、ステアリングダンパーの劣化が原因かも。比較的安価な部品で、交換も難しくない。

クラッチ

スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)
スバルBRZ(初代/2012〜2020年/英国仕様)

初期のBRZのMT車では、トランスミッション・スローベアリングの劣化でクラッチフォークの不具合を招くことがある。クラッチペダルを踏んで、異音が出るならその兆候と考えられる。早めのベアリング交換で未然に防げる。

トランスミッション

MTの場合は、2速へ滑らかに変速できるか確かめる。シンクロコーンは冷間時に動作が遅くなり、シフトフィールが悪くなる。1速からシフトアップする場合は、ニュートラルで一拍置いてから2速へ倒した方が良いだろう。専門家はフルード交換も推奨する。

ボディ

大雨が降ると、テールライト内が曇ることがある。シーリング処理で防げるが、湿気がこもると内部の腐食が進みがち。

インテリア

試乗で内装から振動音が出ないか確かめる。リアシート側の内装トリムやパーセルシェルフ、ダッシュボードの下部がカタカタと鳴りやすい。初期型の場合、4000rpm以上の回転数でシフトレバーが振動することも珍しくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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