最速が楽しいとは限らない スバル BRZ(初代/ZC6型) 英国版中古車ガイド あえて低い限界領域
公開 : 2023.03.07 08:25
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ニール・ウィン氏
「2015年のグッドウッド・フェスティバルで開かれたトヨタのプロモーション・イベントに、86を利用したドリフト体験会がありました。スキッドパン上で、2速に限定された低速ドリフトでしたが、自由度の高いシャシーへ惚れ込んだんです」
「自分の人生で所有するべきクルマだと決心しました。幸運にも数カ月後に、新車のようなBRZのワンオーナー車が、近所のディラーで販売されているのを発見。購入に至りました」
「まさに完璧といえるようなクルマで、今でも運転を心から楽しんでいます。標準タイヤのミシュラン・プライマシーはウェット時のグリップが弱かったので、今はワイドなホイールにパイロットスポーツ4を組んで履かせています」
「アイバッハのローダウン・スプリングと、剛性の高いアンチロールバーへ交換もしています。これらのアップグレードで、コーナリングが一層シャープになりましたね」
知っておくべきこと
初代BRZはチューニングのベース車両としても好適。英国でも、各社から数多くのパフォーマンス・パッケージが提供されている。名門コスワースなら、スーパーチャージャーを組むことで、280馬力以上の最高出力と31.0kg-mの最大トルクを実現できる。
既に改造されているBRZを購入する場合は、その内容を精査したい。部品の銘柄もチェックポイントになる。
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
アイドリングが安定しない場合は、ECUのソフトウエア・エラーが原因かもしれない。再マッピングで解決できる。
ステアリング
低速での旋回中にコツコツと叩くような音が出る場合は、ステアリングダンパーの劣化が原因かも。比較的安価な部品で、交換も難しくない。
クラッチ
初期のBRZのMT車では、トランスミッション・スローベアリングの劣化でクラッチフォークの不具合を招くことがある。クラッチペダルを踏んで、異音が出るならその兆候と考えられる。早めのベアリング交換で未然に防げる。
トランスミッション
MTの場合は、2速へ滑らかに変速できるか確かめる。シンクロコーンは冷間時に動作が遅くなり、シフトフィールが悪くなる。1速からシフトアップする場合は、ニュートラルで一拍置いてから2速へ倒した方が良いだろう。専門家はフルード交換も推奨する。
ボディ
大雨が降ると、テールライト内が曇ることがある。シーリング処理で防げるが、湿気がこもると内部の腐食が進みがち。
インテリア
試乗で内装から振動音が出ないか確かめる。リアシート側の内装トリムやパーセルシェルフ、ダッシュボードの下部がカタカタと鳴りやすい。初期型の場合、4000rpm以上の回転数でシフトレバーが振動することも珍しくない。